落着?
バキッ!という音が聞こえ、蓋が破壊された。蓋を取り外すとそこには地下へ通ずる階段があった。
「ん?階段?なんやこれ?しかもえらい真っ暗やな。お前らはそこで見張っとけ」
私は携帯のライトを使い、階段を下りる。すると、椅子に座っている女がいた。その顔は恐怖に支配されていた。
「おい、あんさん大丈夫か?」
「…に、逃げてください!ここは…!」
「おや…新しいお客さんかな?…これはいい実験体だぁ…あの人にはお礼を言わないとな」
手には銃のようなものを持ち、口が裂けそうなほど笑顔の地味な女が現れた。女は私の方に銃を向けると引き金に手にかける。
「最近、いい銃が手に入ってね。ここに入ってきたということはそういうことなんだろう?」
女は私の顔の横を撃つ。私の頬に血が滲むがそんなことは関係ない。ここはギャングの家だ。私たちは入る家を間違えたのだと理解した。
「大丈夫ですか!姐さん!」
「近寄るな!手土産置いてさっさと帰るぞ!ここはまずい!」
私は急いで階段を上る。その後ろを銃を構えた女がゆっくりと上がってくる。
「逃げるのはずるいだろう?勝手に人の家を破壊したんだ。1人ぐらい持っていってもいいだろう?」
バンバンッ!と発砲音が聞こえる中、私は部下を連れて急いで家主にものを渡す。
「すまんな!ちょっと野暮用を思い出してな!これ、弁償代も入っとるから!これで直せ!それじゃ!」
「あ、はい」
私は今回の一見で学んだ。弱そうなやつが本当に弱いと限らないということに。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「上手くいったな!」
俺たちがやった事は椅子を階段のすぐ下に置き、木乃恵を座らせる。そして、銃を借りて来た人を返り討ちにする。ただそれだけだった。
「てか、ママさ銃の取り扱い上手くない?」
「昔、海外で撃った事があるのよ」
銃の安全装置をかけると木乃恵に返す。木乃恵はその銃を自分のホルスターに戻すと大きく伸びをした。
「ん〜!なんだか疲れました!」
「全く…アキラは変なことを考えるわね」
葵依姉さんはため息を着くと俺の頭を撫でる。
「ふっ…それが俺よ!これで一件落着みたいな感じ?」
「あ、あのぉ…」
薫ちゃんママが地下へと降りてくる。その手には大きな紙袋があった。
「どうしたの?薫ちゃんママ」
「あの…中からこんなの出てきたんだけど…」
紙袋の中に手を入れるとあるものを取り出す。それは1万円札の束だった。帯がついているため、おそらく100万円だろう。
「「「「「………」」」」」
「せめて反応して!」
薫ちゃんママには反応してないと言われたが、俺たちは心の中で反応していた。
(そのお金で男の場所を特定してもらった方が良くない?無駄金がすごいよ?)
そう考えていると一花は口を開いた。
「…今回の事件さ…馬鹿すぎない?」
俺たちは何も言うことが出来ず、ただ上を見ていた。
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