おままごと パートワン!
現在、俺の家には園児6名、一花と木乃恵、俺の9人がいる。
普段は静かな我が家だが、今回はかなり騒がしい。
その理由がこれだ。
「「「「「遊ぼう!」」」」」
園児たちが退屈らしく、遊びたいみたいだ。しかも、園児たちは寝起きからここに連れてこられている。その分の元気はいっぱいだ。
だが、この家には欠点がある。
「遊ぶものがないんだよなぁ…」
普段は一花とゲームをしたり、勉強や雑談、お菓子を食べたりそんなことしかしていないのだ。
基本は二人で遊んでいる俺だからこそ分かる。遊ぶものが何も無いのだ。
「「じゃあおままごとがしたい!」」
とアム、ネルが答える。略せばアネム…我が名はアテム!じゃんけんぽん!
いや違うか。
「てか、おままごとって何するんだ?」
「「「それはもちろん…」」」
「「ドロドロ系!」」
「「「え?」」」
俺と一花、木乃恵は子供たちの答えに驚き、顔を見合わせる。俺たちの予想だと明るい家族としておままごとをする感じなのだろう。それが予想とは全く違い、つい声が出てしまった。
俺は助けを求めるべく胸に埋めたまま動かなくなったイオちゃんに聞いてみることにした。
「イオちゃんや?おままごとするみたいだけど、ドロドロ系でいいかい?」
頼む!ここはもっと明るいやつを応えてくれ!
「うん!いいよ!私は娘役で出るね!」
はい!天使は死んだ〜!なんで乗り気なんだよ!
ちょこちょこと俺から離れていくイオちゃん。
そこはほら!『うぅん、それは嫌!』って言うのが鉄則じゃん!裏切ったなぁ!!イオォォォ!!
「「最初は私たちね!」」
「…サポートは任せて」
すると、アムとネム、ナナの3人が前に出る。
「えっと…お題は?」
「私たちが進めるから!」
「頑張って!」
「えぇ〜」
それとさっきから俺の方に南無南無してる一花と木乃恵、覚えておくがいい…貴様ら2人も参加させてやるからな!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ただいま〜」
「「おかえりなさい」」
俺には嫁と娘が居る。
俺の嫁はネル、娘はナナという。
ナナは俺の姿を見ると走って飛びついてくる。
「おかえり〜!」
「おう!ただいま」
「あなた、少し話があるの」
ネルは俺の方を見る。その目は真剣な面持ちだ。俺は訳が分からず、ナナを抱えネルの前に座る。
ネルは羨ましそうな表情をしたが、俺の方をキッと睨む。
「あなた、隠し事をしていないわよね?」
「いや?していないが?」
俺は身に覚えがないので、素直に答える。ネルは俺の方を見るとため息をつく。
ナナは退屈なのか、俺から降りて端っこで遊び始めた。
「ほんと残念ね。ここで言えば許してあげようと思ったのに…」
俺の前に1枚、白紙が置かれる。
「これは一体なんなんだ?」
「女との写真よ。これはどういうことよ」
ネムは顔を近づけて怒りを顕にしている。だが、この人には見覚えがない。
「いや、普通に知らないんだが?俺は今日、会社から1歩も外に出ず、直帰してきたところだけど?あっお弁当ありがとう。美味しかったよ!」
俺はカバンらしきものから風呂敷に巻かれたお弁当を取り出すふりをした。
「え?それってどういう…」
「みぃ〜つけたぁ〜!!」
すると、俺の背中に何やら重みを感じる。
俺の家には今、嫁と娘以外はいないはず…。
「誰!その女!」
「バレないようについてきたけど、良かったぁ!アムの旦那様!」
その女はアムという女らしい。俺の背中に抱きつき、ハグをしてくる。アムは俺の匂いを嗅ぐと頬を舐め始めた。
俺はそのアムを引き剥がそうとするが、力が強く引き剥がせない。
ネルはアムを睨むと俺に紙をなげつけてきた。
「旦那様!?あなた!やっぱり浮気してたのね!!」
「してねぇって!お前誰だよ!離れろよ!」
「もぉ〜昨日会ったじゃないですか〜会社でね?」
アムは俺から離れると少し後退りをする。アムの目は据わっており、笑顔からは狂気を感じる。
俺はネルを守るために手を広げる。
「お前…話したことないし、会社にも居ないだろ?」
「え?ほんとなの?」
「あぁ…こんなやつ見た事ない。ネル、お前は娘を守ってくれないか。」
「後で話を聞かせてね」
ネルはオレの頬をチュッとするとナナの方へと歩いていった。アムはその光景を見て、俺へとゆっくり近づいてくる。
「ねぇ…あんなに私のことを愛してるって言ってくれたのに…その手で抱きしめてくれたのに…どうして…私じゃダメなの…ねぇ…ねぇ…」
「何を言ってるんだ?俺はあんたみたいなやつは知らない!頼むからこのまま帰ってくれ!」
「じゃあこれにハンコを押して。そしたら、帰ってあげる」
アムは紙を俺に渡してきた。
「これは…?」
「婚姻届。それにハンコして」
「無理だけど」
「じゃあ無理」
「なら無理やりにでも帰ってもらう」
俺はアムに帰らそうと近づくとアムは手を広げる。
「あなたから来てくれるなんて…おいで?」
「無理だ。俺はネルとナナがいいんだ」
「チッ…ふざけんなよ…じゃあ奪っちゃうから」
アムは俺の方に近づくと足をひっかけ、無理やり倒してきた。俺は起き上がろうとしたが、アムの方が行動は早く馬乗りになってきた。
「えへへ、これで私のもの!!」
アムの顔が俺の方へと近づいてくる。
「「「「「「カットォ!!」」」」」」
木乃恵は急いでアムを持ち上げ、一花は俺の体を起こして、濡らしたタオルで俺の頬を拭く。
「大丈夫?アキラ」
「あぁ…まさか舐められるとは思わなかった」
「女性は嫌い?」
「一花のことを拒否ってないだろ?」
「「えへへへ」」
俺たちは仲良く笑う。一花は俺の頬にそっと触れ、俺は一花の頬に触れる。それを見て嫉妬したのかナナとネルが俺の方へと近づいてきた。
「さっきのはストーカー系ドロドロだね」
「…うん。なかなかいい演技だった」
ネルとナナは俺の近くに座ると頭を差し出す。俺は2人の頭を撫でる。
「君らもよくやったな。すごい演技だった」
「「えへへへ」」
2人は喜んでくれてるようだ。一花と木乃恵は何やら羨ましそうな顔をしているが気にしない。
「じゃあ次は私だな!」
「うん!私の出番だね!」
「イオ、頑張る!」
と、セイ イオ カオリの3人が前に出る。カオルだけは不安なんだよなぁ…。
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