保育園…?


「服は大丈夫?以前よりも薄くて硬い生地にしてあるけど」


「これなら動きやすいから大丈夫!」


「分かったわ。じゃあ気をつけて行ってらっしゃい。2人も頼んだわよ」


「「はい!」」


「行ってきまーす!」


ママに見送られ、すっかり我が家の住人となった一花と木乃恵と一緒に車で保育園へと向かう。

保育園は今回のことを重く捉えたのか俺だけ特別処置となり、保育園に警護人を2名まで連れて良いこととなった。


「果たして保育園でどうなることか…次回、死す!」


「一花さんや?勝手に殺さんでくれるかい?」


「でも、今回から保育園に私たちが付いていけるなんて良かったですね〜本来であればダメって言われるはずですよ?あの襲われた子供もダメって言われてましたし」


あの半裸になってた男の子の写真ってここで行われたのかよ…普通にダメじゃないのか?


「あの子は結局どうなったんだ?襲われた時って確か女の子達を罵倒したからカッとなってしちゃったんだっけ?」


「そうですよ。で、確かお母さんがあの子を屈ぷ…いえ、説教してそこから丸くなったみたいです。まぁその後、保育園の女の子からおもちゃみたいになってたみたいですけど」


「その人って居るの?」


「居ますが…さぁ!そろそろ着きますよ!」


「「露骨に話をそらした」」


この声に木乃恵は反応しない。車を止め、窓を開けると入口前に居た警護人がやってきた。


「お疲れ様です!付けてますね!…本日よりアキラ様のクラスの警護レベルを最大に引き上げております。もし何かあれば目配せしてください。それではお気をつけて!」


木乃恵は窓を閉めると、保育園の中に入っていく。俺は警護人が言っていたことでこの二人はいらないんじゃないかと思った。


「木乃恵達、要らなくね?」


「「………」」


「いや、ごめんて」


車内が異常な圧迫感に襲われた。この2人から出されているのだろう。俺はいたたまれない気持ちになり、謝ってしまった。


「今回はあの子はいませんが、ほかの人たちが何をしでかすか分かりません。十分に気をつけてください。特にアキラさんは園児たちに優しくしすぎると大変なことになります。お気をつけて」


「へいへい」


「一花、準備はいい?」


「…はい、周りには人は居ません。アキラ、降りてきて」


一花は車を降りると銃を取りだし、周りを見ていた。大丈夫なことを確認すると俺に降りてこいと合図する。俺は降りると一花は先頭を歩き始め、その後を木乃恵が付いてくる。

警戒しすぎだろうとは思うが、そう思っていたのは俺だけだった。


「「「「「居た!」」」」」


「え?」


「「動くな!」」


何故か外にいた園児たちが俺目掛けて走ってきていた。それを見た木乃恵達は上に向けて、銃を撃つ。

その音にびっくりしたのか園児たちは止まった。


「それ以上近づいたら撃つ。アキラは後ろに」


「早く部屋に戻りなさい。これは警告です」


「なんで警護人が居るの?」

「もう少しで遊べたのに」

「あの子で我慢しよう」

「私たちの鬱憤を晴らしてもらおうかな」

「それがいいわね。今日はどうする?」


と、園児たちは大人しく帰っていったが会話が恐ろしいものだった。


「この状況…上に話すわね。最悪ここを潰すわ」


「そうした方がいいね。それとここの警護人も永久追放で。入口の人以外何もしてないから」


2人が怒りを含んだ会話をし始めたことで、俺は気を使うことにした。


「と、とりあえず俺のクラスに行こうぜ!?なっ!あいつらに話したいこともあるしな!」


「ん?そう?じゃあ行きましょうか」


「話したいことって…あ〜そういう事ね!」


「木乃恵姉さん、何か分かったの?」


「お嫁さんのこ…痛い!」


「馬鹿なこと言ってないでさっさと前進!俺のクラスに行け!」


「もぉ…分かりましたよ」


木乃恵たちは再び銃を構え、歩き始める。

今度は誰にも会うことなく、極上クラスへと到着した。


「なぁ?軽く中を見れない?どんな遊びしてるか気になるし」


「別にいいけど…はいどうぞ」


一花は俺を持ち上げると、ドアを覗きこむ用の穴があり、そこを見てみる。


その穴を見ると中は見ることは出来ず、真っ暗闇だった。おかしいなと思い、しばらく見ていた。

だが、それが俺の方へと近づき丸いものが何やら大きくなったり小さくなったりしていた。

これってまさか!


「このドアの前に1人いる!目がある!」


「なんでそんなホラーなお出迎えをするの!?ドアから離れなさい!」


俺が扉から離れると中からドンドンドンッ!という音が聞こえ始めた。


「早く中においでよ〜みんな待ってるよ〜」

「お兄ちゃ〜ん早く〜」

「中においでよ…」


「な、なんなんだよこの状況…ゾンビじゃねぇか…」


「まさか…今日の曜日は!?一花!確認!」


「木曜日です!月は満月です!」


「あちゃ〜まずったな〜」


木乃恵は頭を抱える。一体何が…


「だって満月の日は…」


「「私たちが男を襲うんだぁ!!!」」


一花たちは俺の方を見ると目が真っ赤になっていた。その状態のまま俺を押し倒した。


「うわぁぁぁ!!やめろぉぉぉ!!離せぃ!!」


「はぁ…この首、美味しそう…いただきま〜す!!」


俺は一花に首を噛まれた。痛みはないが、噛まれた感覚があり、段々と目の前が真っ暗になった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「はっ!…夢か…」


目が覚めるとまだ外は暗く夜のようだった。

さっきまで見ていたのはただの夢だったようだ。

俺は首をさすりながら体を起こす。


「変な夢を見たな…うわっ汗でビチョビチョだよ」


「う〜ん…すぅ…すぅ…」


寝息が聞こえたため、音のした方を見るとそこには暑苦しいのか布団の左側を蹴飛ばして寝ている一花が居た。


「なんで一花が俺の布団にいるんだ?…しかも反対側には木乃恵もいるしさ…ったく…」


「………」


木乃恵は隣で死んでるように眠っていた。寝たフリかと思って頬をつついてみたが、眠っているようだった。


「服気持ち悪い!もう脱ぐ!」


「「…ッ!?…すぅ…」」


俺はズボンやシャツを脱ぎ、一花側の端っこの方に投げる。下着一丁になったが気にしない。何かあれば一花に守ってもらおう。


俺は一花にちゃんと布団をかけて、一花側に近づいて眠りについた。反対の方に絶対に行かない



〜〜〜〜〜


俺が眠ったあとの会話


「一花、そこを代わりなさい」


「嫌です。それと姉さんは離れてください。起きたら報告しますから」


「ふ〜ん…じゃああの服は私が貰うわ」


「それもダメです。私のです」


「じゃあアキラくんはもらっ…ッ!?危なッ!」


「アキラは信用されてない人が近づくと何故か攻撃するんですよ。私も1度されましたから。でも、今では…ほらっ!は〜いい匂い!」


「ぐぬぬ…抱きしめれるなんて…」


「ふふーん!これは家族の一員になった特権ですから!」


「いつか私もできるようになりたい…」


「…じゃあ今回はこの服を貸してあげます。それで我慢してください」


「えっ!?いいの!?」


「未来の可能性をかけて今回は許します」


「ありがとう!大切に匂うね!」


「まぁ…今夜だけですけどね」


「スーハースーハー…あぁいい匂い!」


彼女達の夜は俺よりも長かったそうだ




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