作戦会議 パート ニーテンゴ!

俺たちはしばらくゲームをしていた。すると、ママたちが帰ってきたため、ご飯となった。

美味しそうな匂いが漂っているが、木乃恵は一向に起きる気配がない。起きるのを待ってても仕方ないので、俺は叩き起すことにした。


「木乃恵…起きろ!ご飯の時間だ!」


「………」


「今日は木乃恵の好きなカレーだぞ!」


「………」


「さもないと全部食べるぞ!」


「………」


「こいつ…見てみろよ…眠ってるだろ?死んでるんだぜ?」


「勝手に姉さんを殺さない!」


「おっ!一花!いいところに来た!」


俺が起こそうと努力していると様子を見に来たのか、一花がやってきた。こんなに騒いでも起きない木乃恵は本当に死んでるんじゃないかと思った。

何かあってはまずいと思い、脈は確認した。トクントクンと指に感じたので大丈夫だろう。


「一花、どうやってこの人を起こしてる?」


「私は姉さんを起こしたことないから分からない」


「そうかぁ〜」


「そんなもの決まってるわ!愛のベーゼよ!!」


そこにはゴスロリを身にまとい、口を扇子で隠している葵依きい姉さんが居た。

それ、久々に着てるのね。サイズ感が変わってないってことは…いや、考えるのをやめよう。


「おぉ〜似合ってるじゃん!」


「そ、そう?ありがと」


葵依きいさん、この人は愛のベーゼで起きると思います?」


「ッ!一花さんの…お馬鹿!」


「キャッ!」


すると、葵依きいは一花の頬に手を当てるとビンタするように押した。一花はビンタされたかのように頬を当てる。

しくしくと泣いてるが、何も痛くないでしょ?

だって、押しただけだから。


「この人は男の子を求めているのよ!そんなことも分からないの!?」


「でも、アキラがやってしまえば大変なことになりますの!食べられてしまいますわ!」


「そんなことは関係ないわ!アキラやってあげなさい!」


ビシッと俺に指を指す葵依きい。俺の方に手を伸ばし涙目で見てくる一花。てか、愛のベーゼっていう度に木乃恵がビクビク動いているんだけど、絶対起きてるよね?


「う〜ん…どうしたもんか…」


「早く愛のベーゼをしておしまいなさい!」


「ダメですわアキラ様!そんなことをしてはなりません!」


「仕方ないなぁ…するか」


「えぇ!?」


俺はしないがするという嘘を言うことで、起きるのではないかと思った。だが、残念ながら一花の声だけだった。木乃恵の方を見たが、ピクリとも動かない。代わりに顔が赤くなっていた。

絶対起きてるだろ?この人、口舐めたぞ?

俺は一花にちょいちょいと手招きすると耳打ちをする。


「一花…グミってある?」


「あると思う。あっ…なるほどね」


「わかったな?こっそり持ってきて」


「任せて」


一花はグミを取りにコソコソっと取りに行った。そんなことを知らない葵依きい姉さんは俺の近くによる。そして、小声でボソボソと話す。


「この人、起きてるのよ。で、俺が襲うの待ってる感じで嘘ついて目を開けさそうと」


「そういうことね。じゃあふざけてやってた私のやつは?」


「いいアプローチだったと思う。一花ものってたでしょ?今、一花にグミを持ってきてもらって口に落としてやろうと」


「なるほどね。それまでは私たちで時間稼ぎを」


「そういうこと。じゃあお願い」


俺は少し距離をとると葵依きい姉さんがお芝居を始める。


「あなた!早くなさい!あっついベーゼをしてあげなさい!」


「つってもなぁ〜なんか見られるの恥ずかしいしな〜」


「この私が邪魔だと言うの!?」


「そういう訳じゃないけどさ」


「ほらっ!手を添えてスっとするだけよ!」


「じゃあ代わりにやってよ」


「それは嫌」


「嫌なのかよ!」


すると、一花はコソコソとグミをふたつ持って帰ってきた。ありがたいことに2つを引っつけてくれた上に棒のようなものでぶっ刺している。

これなら遠くからでもできるな!


「こっちに」


「任せて」


「さぁ!そろそろしなさい!ふふ…」


「はいはい…ふふふ…」


「えぇ〜しちゃうんでへへ…」


俺たちは笑いながら木乃恵の口にグミをそっと落とす。すると、木乃恵は目をカッと開ける。


「アキラくんからの!…あれ?」


「「「あははははは!!引っかかった!」」」


「ぐぬぬ…これはいつかし返してやる!」


「ほらご飯!早く食べっぞ!」


「くぅ〜カレーに免じて許してあげます!」


俺たちは仲良くママが作ったカレーを食べに行くこととなった。


※その後、使われたグミはちゃんと木乃恵に食べさせました。

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