いざ!外の世界へ!
俺は一花の運転で無事家に帰ってきたが、あの後、2人は一花の運転がトラウマになったみたいだ。
『もうやめてください…』とか『降ろして…』とか寝言が聞こえていた。そんな俺も数日ほどうなされる羽目になった。
俺たちが家に帰ってすぐテレビをつけると、一花を誰かに雇われることになったとニュースで報道された。ただ誰が雇ったとは言ってはなかった。だが、男性保護会の連中が来なくなったあたり、俺だと知っている人は多いだろう。
1ヶ月の間、安静に過ごしていたが何の異常もなくなった。そこから退屈な日々を過ごす羽目になり、俺は家にいるのがしんどくなってきた。
お姉ちゃん達は一花を雇ってから普通に外出している。薄情な奴らめ!
「一花!外に連れて行ってくれ!」
「ちょっと待ってくれ…せんべいが美味くて」
「グータラしすぎだろ!お前!」
現在、一花はパジャマ姿でゴロゴロとテレビを見つつ、せんべいを食べているのだ。
「そりゃ退屈だから。凄く忙しそうだな〜と思ってたのに、蓋を開ければ財宝と書かれた紙が入ってた
感じなんだぞ?期待外れにも程がある」
「えぇ〜そんなぁ〜じゃあさ!外に連れてってよ!」
一花はせんべいを食べている手を止めた。
「外にだと?自ら外に出ようとするのは珍しい。でも、危険じゃないのか?」
「退屈だから、危険を犯しにいくのさ!」
俺の前世の心が外に出ろと言っているのだ!1ヶ月もゲームや読書、テレビだけの生活はもうコリゴリだ。そんな時に思いついたのだ。
俺の家はどこら辺なのか、この近辺に何があるのか知れば面白そうじゃないかと。
「ふーん、まぁいいだろう。じゃあ車を…」
「車は絶対にやめてくれ!抱っこで頼む!」
俺の言葉を聞くと、一花はなにやら少し恥ずかしそうな顔をしている。ほほぉ?抱っこはしたことないのか?
「なんだ?一花、もしや抱っこしたことないのか?」
「そ、そんなことはない!1度ぐらいはしたことあるぞ!?」
「では、この俺を抱っこしてみろ」
一花は俺の方へ近づき、抱っこする。が、どうやって抱っこすればいいのか試行錯誤している。やっぱり抱っこしたこないじゃないか。
「抱っこ…したことないんだな」
「う、うるさい!こうすりゃいいんだろ!」
一花は俺の太ももの下に腕を持ってきて、俺を支える。おっ意外といいじゃないか!
何故か一花の耳は真っ赤になっていた。この俺が可愛いから照れてるのか〜ニヤニヤしちまうぜ!
「よし!そのまま進め!そして、外へいけ!」
「待て!服を着替えさせろ!」
一花は俺をそっと床に降ろすと急いで服を持って洗面台に向かった。
乙女だなぁ〜俺のことは着替えさせてるくせにな!
「じゃあ俺も武器を持つとしようかな〜」
俺は取っておきの武器を探しに行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さぁ!進め!
「誰が
俺は抱っこされた状態で一花に進め!と指示を出す。一花はそんな俺にため息をつきながらも歩き始めた。うむ!一花に真っ白なスーツはいいな!似合っている!
「おぉ〜!これが外かぁ!いいね〜」
「なんだ?そんなに出てなかったのか?」
「いや、前住んでたところでは出たりしたんだが、引っ越ししてからは1度も出れずだった。誘拐しようとしてこようとしてきたり、パパだよ〜とか言って俺を養子に迎えようとしてきたり、男性保護会とか男性解放会とかな」
俺は遠い目をする。それを見て、一花は納得したような表情をうかべる。
「そうか、私が雇われてなかったらどうなってたんだろうな」
「多分、毎日ゆっくり過ごせてなかったと思うぞ?」
「それなら来てよかったな」
「ほんとだよ…だが、私を倒せっていうのはどうかと思うぞ?」
「そ、それは置いといてくれ!じゃあショッピングセンターも近くにあるから、そこに行こう!」
「いいねぇー!じゃあそこに行こう!」
こんな話をしている中、女性がこちらに数人近づいてきた。携帯を持っているあたり写真だな!
「あ、あの…」
「何か用か?」
俺が答えようとする前に一花が答える。ちぇっ!俺が答えたかったのに!彼女たちは申し訳なさそうに聞いてきた。
「その子、男の子ですよね?写真撮ってもいいですか?」
「それはこと…」
「別に構いませんが?ただ情報をばら撒くとなると話は別です」
一花が断ろうとする前に、俺が答える。別に写真くらいはいいだろう。
「いいんですか〜!写真はばら撒きません!それは誓います!」
「よし!じゃあ撮れ!」
「こやつには常識とやらを教えてやらなくてはならんな…」
彼女たちに撮って貰った写真には俺はとてもいい笑顔でピースをしていたが、一花はため息を吐いているような顔をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます