第9話

「僕にとっても君は、お姫様だよ」

「……」


これ、王子以外が言ったら、ドン引かれますよ。

私ですら、どう反応していいのか困ってますもの。


「あ、ごめん。君、こういうこと言われるの嫌いだっけ」

「嫌いと言いますか、…反応に困ります」

「え?言われないの?君のことだから、色々な人に言われてると思ったけど。もう、老若男女問わず」

「まぁ、言われることもなくはないのですが」


嫌みとか、妬みとか、おべっかだとか、そういったものを色々と混ぜたものなら、言われますが。

お世辞を言われて、素直に喜べる年頃は、過ぎています。

お世辞ではなく、本気で「世界一可愛い」「宇宙一可愛い」「我が家のお姫様」って言ってくるのは、私の父くらいでしょう。

私だけでなく、私の母にも、そういったことを言っているので、別に特別扱いではありませんが。


「まぁ、待遇はかろうじて満たされていますが、外見が姫とは程遠いのは、分かってます」

「そう?きれいだと思うけど」

「嫌みですか?」

「よく言われる」


そりゃあそうでしょうとも。

美形は美形でも、整っているのレベルが違います。

内側から発光してるのか?ってくらいに肌がきれいだし、なんかもうパーツの一つ一つが、整っているし、絶妙に配置されているしで、芸術点満点!!!って叫んじゃうくらいに綺麗なんだから、そんな人に「君は僕にとってのお姫様」だとか「君はきれいだ」とか言われたら、そりゃあ嫌みか?って思われても仕方ありません。


「あっちの国では、君の話で持ち切りだったよ。君、全然パーティとかに出席しないから」

「お高く留まっていると?」

「ミステリアスな深窓のご令嬢ってどんどんレベルが上がってた」

「最悪ですね」

「まぁ、あの姫君のことだから、君とは話が合うかもね。絶対会わせたくないけど。気に入るに決まってるし」

「私にとっては、初めてのお友達が出来るかもしれないということですね。…それは、ちょっと考えます」

「…え!君の初めてのお友達は、ぼくでしょ!」

「私、王子とお友達だったんですか。初めて知りました」

「今まで、なんだと思ってたのさ!」

「婚約者の弟。この国の第2王子」

「事実…」


なぜショックを受けているのでしょう。

まさか本気で、お友達だと思っていたわけではないでしょう。

確かに会えば、話をする関係ではありますが、私は、小さいころから、王太子と婚約を結んだ関係。

であれば、王族の方々と話す機会は、山のようにありました。

その関係で、第2王子とも、頻繁…とはいかないまでも話す機会があっただけです。

お話ししただけで、お友達になれるのは、小さい子どもだけですし、私は、そんな風に思っていなかったのですが、王子は、そう思っていたということなのでしょうか。

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