魔法剣士世界の夢魔法使い

第171話 痴話げんか

 僕の告白を受け取って、美琴はにこりと笑ってくれた。

 少しの間だけ、刀を下げて、彼女は僕の目をじっと見る。


 一瞬とも永遠とも思える静寂が場を満たす、そのときに――


「その告白、お受けします」


 美琴は、僕の想いを受け入れてくれた。


「私も祭くんのことが、この世界のだれよりも好きです」


「やったぜ、両思いか!」


「だけど祭くんの、そういう軽いところは嫌いです」


「ええ……」


「私はもっと、頼りがいがあって、かっこいい祭くんが好きなので! よろしく!」


 人はそれを幻想って言うんじゃないかなあ?

 恋は人を盲目にさせるっていうしさ?

 等身大の僕を好きになってほしいなあ、って思ったりして。


 という旨をそれとなく伝えてみると、美琴が口を曲げて怒る。


「それを言うなら、祭くんこそ、私に夢を見ていませんか? 世界最強の魔法剣士だとか、私の輝きを見たいだとか、なんだかアイドル崇拝みたいですよね」


「申し訳ねえけど! でも世界最強の魔法剣士になるって言ったのは美琴だし!」


「今時、はやりませんよ~? そういう女性に夢見る男の子って?」


 唐突に始まった痴話げんかに、会場が困惑していた。


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