第167話 くっくっく

 だああああああああ、ちくしょー、追い付かれた!


 ジェットスキーで華麗に逃げるつもりが、美琴は重力加速のありえないスピードで、あっさりと僕に追い付いてくる。

 力技とはこのことだ。

 僕が描いたどんな作戦も、美琴は簡単に食い破ってくる。

 それも小手先の方法ではない、真っ向勝負で食い破ってくるのだ!


 バケモンだよ。真面目に化け物だ。

 さすがに高次元存在の天使を斬り殺しただけはある。


 くっくっく、なかなかやるじゃないか……

 みたいな黒幕スマイルで虚勢をはるのが、僕の精いっぱいの抵抗だった。


 しかしやべえな。このままではふつうに僕が殺されてしまう。

 刀で突き殺された経験はないけど、たぶんめちゃくちゃ痛いんだろうなあ。


 ええい、お断りじゃい! 

 窮鼠猫をかむということわざがあってな。

 追い詰められたものは、なにをしでかすかわからないんだぜ!


 僕はオサムと戦った時と同じように、人差し指の銃を作って、その指先にありったけの水量操作で、水圧の弾丸を装填した。

 ウォーターカッターは通じなくても、レーザービームなら効くだろ!


 加えて、刀が届く超至近距離だ。

 僕はニヤリと笑って、美琴に水圧のレーザーを照射した!

 水の檻ごと、水圧のレーザーが美琴を貫き、吹き飛ばす!

 ……はずなんだけど、なにをとち狂ったのか、美琴は真っ向から突撃してきた。


「おいおい……」


 何考えてんだ、こいつ……?


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