第158話 ありがたいお話だけど

「僕ら、出会って数日だよね?」


「はい、ぶしつけなお願いだということは、承知しています」


「は、早すぎない? お友達から始めましょうじゃなくて?」


「祭! 男たるもの、優柔不断ではいけません! YESかNOでお答えなさい!」


 むちゃくちゃ言いやがるなこいつ!

 僕は混乱する頭で、状況を整理した。

 僕はガブリエルに、なぜか愛の告白をされた。

 理由はわからないが、ガブリエルは僕のことを好いているようだ。

 金髪美女に告白されてうれしくないのかって?

 そりゃうれしいし、舞い上がってしまいますけどねー

 物事には順序というか、出会って数日の告白は運命の出会いでも早すぎる。

 YESかNOで言えば、率直に言ってNOなんだよね。

 だから僕は変に期待を持たせないために、ふつうに受け答えた。


「NOで。ありがたいお話だけど、お互いのことを知らなさすぎると思うし」


「ねえ祭、お互いのことはこれから知っていけばよいのです。私なら、あなたを理解してあげられます。あなたもきっと、私のことを理解できると思います」


 諦め悪いな、こいつ! 食い下がってくるか!

 天使の魔法能力に似合わない強情さで、ガブリエルが言う。

 しかし、僕のことを理解できるとは、まるで先ほどの会話を聞いていたかのようだ。


「あのさ、ひょっとしてさっきまでの話、盗み聞きしてた?」


「ちょっとだけ、ですが」


 ガブリエルが気恥ずかしそうにはにかんだ。

 彼女は改まって、聖母のような微笑みを浮かべる。

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