第157話 告白

「祭、負け犬が会いに来たことを、許してください」


「え? いや、準決勝はいい勝負だったと思うよ。ナイスファイト!」


 ナイスファイトは僕の本音だ。

 僕は美琴を応援していたけれど、ガブリエルの魔法能力はすさまじかった。

 というか、僕がガブリエルと戦ったら、まず間違いなく勝てないだろう。

 高次元の存在なんて、どうやって倒せっていうんだよ。無理だ無理。

 能力の相性と創意工夫で美琴に軍配があがっただけで、どちらが勝ってもおかしくない勝負だったと思う。

 だから僕はガブリエルの健闘をたたえた。

 しかしながら、ガブリエルはそう思ってくれないらしい。


「ええ、わかっています。私は敗れました。無様に負けたというのに、この胸に秘めた想いを諦められずにいる。卑怯者とののしっていただければよいでしょう」


「卑怯者って、いやいや、そんなことは……」


「祭、話を聞いてもらえますか?」


「へ?」


 ガブリエルは呼吸を整えて、一度せきばらいをした。

 改まった雰囲気で、なにを言い出すのかと思えば……


「祭、私はあなたが好きです」


「…………」


「一言で言うと、愛しています」


 言い直さんでええわい!

 ど、どういうことだ!?

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