第156話 そうだなあ……
運動公園に一人残された僕は、お兄さんの言葉をかみしめる。
「奪う者は補償しない、親切への見返りなんてふつうは無い、か」
そりゃそうだとしか言いようがない。
だけども、僕は心のどこかで自分の家族に補償を求めていたに違いないし、他人に優しくすれば同じだけ優しさが返ってくると期待していたのかもしれない。
笑っちまうよなあ。
人間不信なんて、紐解けばただの人恋しさじゃないか。
あんまりに恥ずかしくて、顔から火が出そうだぜ……
しかし、僕も心が決まった。
お兄さんの言いたいことがわからないほど、僕だって馬鹿じゃない。
他人にやさしく、与えられる人間になれ、ということだ。
人の尊厳を奪う者と、すなわち前世の自分の家族と決定的に違う立場を得ることができれば、僕のコンプレックスはあっさりと解消される。
こんな簡単な話に自力で気づけないのも情けないけど……まあいいさ。
問題は、なにを与えるか、誰に与えるか、という話なんだけども……
「美琴に合わせる顔がねえよなあ……」
さんざんと美琴のメンタルの弱さをいじっておきながら、本当にメンタルが弱いのは僕だったというオチだ。恥ずかしさで入水自殺したいぜ……
そんなふうに僕が悶々と悩んでいると。
「ならば、私があなたに愛を与えてさしあげます」
「へ?」
医療魔法で首をつなげた、金髪美女のガブリエルさんが、やってきた。
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