第144話 私なら、あの人なら
ガブリエルの立体機動を駆使した斬撃に、美琴は守勢に回った。
空を飛ぶガブリエルに対して、美琴の刀が届かないのはもちろんだが、不慣れな上下の感覚を調整するまでは、とても反撃がおぼつかないからだろう。
かっこよく言えば、“
好き放題に責め立てられるのはおもしろくないし、防戦一方だが、今は仕方がない。
(祭くんなら、上下のハンデはない。彼なら水圧の刃で空戦を対策できる)
一撃一撃を払いのけ、受け流しながら、美琴はなにを考えているのだろうか?
(だけど私に魔法能力はない。お姉ちゃんなら重力操作で引きずりおろせるんだろうけど、私にあるのはこの刀だけ。だから、感覚のズレを調整して、カウンターを合わせる他にない)
守るばかりで、地を駆ける美琴が……そのとき、足を止めた。
天に立つガブリエルがニヤリとする。
隙だらけの獲物を見つけた狩人のように、ガブリエルは美琴を強襲する。
「あきらめましたか!」
「一意専心、この身と心を刃とする――」
美琴は一度目を閉じて、呼吸を整える。
そして――
「抜刀! 【瞬剛剣・流れ切り払いの型】!!!!」
交差!!!!
美琴はただ一度の好機を完璧にとらえ、ガブリエルの剣と片翼を切り飛ばした!
ただし……片翼の防御に阻まれて、美琴の刃はガブリエルまでわずかに届かない。
「なかなか、やるではありませんか」
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