天剣
第141話 僕はおまえを待ってるぜ
準決勝第2試合の時間がやってきた。
スタジアムの中心には、すでに美琴とガブリエルが向かい合っている。
片やレベル0の下馬評を覆して勝ち進んできた歴戦のサムライガール。
片や異国の地からやってきた凛々しい剣の天使様。
両者に共通するのは剣を使って戦う近接重視の戦闘スタイルだ。
剣と剣でちょうどよく、僕は見ごたえのある剣戟を楽しみにしている。
「くうぅぅ、美少女剣士VS美少女剣士、これは熱戦の予感だぜ」
と、医療魔法で復活したオサムが僕の隣の席に座った。
「なんだもう蘇ったのか。死んでくれていてもよかったのに」
「へっ、冷たいこと言うなよ。勝負で負けても、ガブリエルちゃんを想うハートの熱さでは、俺はおまえに負けたつもりはないぜ!」
おおう、気持ち悪いなー、こいつ。
別に僕はガブリエルのことを恋愛対象として見ていないから、ハートが欲しけりゃゆずるし、勝手に玉砕してくれればいいんだけどな。
さりとて腐ってもオサムもレベル9の能力者だ。
戦いの前に、話を聞いてやってもいいだろう。
「どう思う? この勝負?」
「さあな、剣士の戦いって魔法の力押しとは違って、技の切れ味の勝負だろうから、長引くことはないんじゃないか? どっちの技が優れて強いかで決まるだろ」
僕もそう思う。素人の視点ではこんなところか。
戦いが始まる前に、僕は観客席からささやかなエールを送る。
「がんばれよ、美琴」
僕はおまえを待ってるぜ。
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