第136話 烈風の翼

「さすがだ。祭、こんな大技で競い合えるなんて、男の冥利に尽きるぜ」


「強がるなよ。僕の勝ちだ」


「どうかな? 悪いが、俺はまだ、諦めていないんでな!」


 負けず嫌いが叫ぶ!

 互いがすべての魔法能力を投じた戦いで、オサムはさらに限界を超えてゆく!


「天を切り裂く烈風よ! 俺の声を聴けッ!」


 そのとき、大気の障壁がその形状を変化させた。

 防ぐための鎧、盾の形ではなく……その形は先鋭的な“槍”!

 矛と矛! オサムはこの期に及んで、僕に真っ向勝負を挑むつもりなのだ!


「いくぜ、祭、矛と矛……これが俺の――勝負根性だ!」


「上等だ! 来やがれ、オサム!」


 真っ向勝負とはまさに言葉どおりだ。

 オサムは烈風の槍で水のレーザーを切り裂いて突撃してくる。

 矛先から砕け散っていく烈風の槍。

 その切っ先が僕に届くのが先か、烈風の槍が砕け散るのが先か……

 せこい手はいくらでも思いつく。

 だけどここで逃げたら、僕は二度と自分自身を誇れない気がした。

 ふふっ、なんだかんだと言って、僕も男の子ってことなんだなあ。


 突き進むオサム、その道の先で待ち受ける僕。

 だが、僕だって、座して待つばかりじゃない。


「槍か……矛と矛なら、僕だって、銃なんていらねえよなあ!」


 負けず嫌いさ! 僕は残存するすべての水量を操作して、大いに高笑った。

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