第130話 準決勝に向けて

 全国大会第二回戦を終えて、僕らはそれぞれ順当に勝ち進んだ。


 言わずもがな、僕は対戦相手を呼吸困難にして勝った。てへぺりんこ☆

 はっはっはっ、魔法能力者って連中も大したことはねえなあ!

 矢でも鉄砲でも持ってきやがれー、みんなまとめて窒息させてやるぜえ!


 ……とか言って、調子に乗っていたら、痛い目をみそうなので、ほどほどにしておく。

 油断大敵だ。

 そして油断しなければ、僕の側に負ける要素はあんまりない。


 だからその後の試合も無難に勝って、僕は一足先に準決勝に駒を進めた。

 美琴も勝った。ガブリエルも勝った。ついでにオサムも勝った。運のいい奴だぜ。


「やるじゃないかオサム、僕に負けるために勝ちあがってくるとはな」


「くぅうううう、そのラスボスみたいな態度、今に後悔させてやるぜ……」


「楽しませてくれよ? 僕はめずらしく真っ向勝負を楽しみにしているからさ」


「ん? 俺を呼吸困難にはしないのか?」


 してもいいけどさー、やっぱり楽しくないじゃん?

 本気を出して、チャンバラやって、熱く戦うのが男の青春の醍醐味ですよ!

 有栖川顧問が聞いていたら笑われそうだけど、そういうものですから!


 オサムは微妙な表情で半笑っていたけれど、そういうものですから!


「へっ、まあいいや、おまえが本気で来るなら、俺も全力でお相手するさ」


 【風】の魔法能力者か。

 おそらくは最上位のレベル9だろう。

 水と風で、爽やかな戦いになるのかな、さて、どうかな……

 僕はゆかいに思って、決戦の地に、足を踏み入れた。

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