第124話 私の仲間になりませんか?

「祭、私の仲間になりませんか?」


 僕は立ち止まり、首をかしげた。

 いきなり仲間になれと言われても、困ってしまう。


「??? 仲間? どういうこと?」


「言葉通りです。この大会が終わって、あなたが落ち着ける日が来た時には、私と共に来てほしいのです。私には裏表のない、心から信じられる仲間が必要なのです」


 言って、ガブリエルは右手を僕にさしだした。

 握手ではなく、この手を取ってほしいと、彼女はそう求めている。

 迷う僕に、ガブリエルは優しく微笑んでくれる。


「答えは今すぐでなくても構いません。あなたにも都合があるでしょうからね」


「余裕なんだな。まるで本物の天使様みたいだ」


「茶化さないでください。私は本心から、あなたを求めています」


 ガブリエルがニコリとして、僕を見つめた。

 見透かすような視線に、居心地の悪さをおぼえながら、僕は考える。


 うーむ、金髪美女からお誘いを受けて、僕はうれしいんだけどねえ。

 なんだか彼女についていくと、めんどくさい気がするんだよねえ。


 誠実とか、信頼とか、そういう綺麗な言葉は美徳だけど、スローガンに掲げるには曖昧が過ぎるし、そもそも自分の在り方は他人に強要されるものではないしさあ……

 美しい天使様に勧誘されて、僕が困っていると……


「あ、祭くん! おはようございます!」


 同じくジャージ姿でジョギング中のサムライガールがあらわれた!

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