第122話 サムライガールの評価

 サムライガール、美琴の試合を見てくれたのか。

 へえ、高飛車な物言いとは反対に、意外と研究熱心なんだな。


「それで? どうだった?  我が国のサムライガールの実力は?」


「光るものを感じはしました。しかしまだ粗削りで、なによりもその心の在り方が未熟です。祭には申し訳ありませんがね。彼女は私の敵ではありません」


「へえ……」


 僕はガブリエルの観察眼に感心していた。

 光るものを感じたとは、美琴の潜在能力を認めてくれているという話だろう。

 そのうえで、美琴の危うさと、心の弱さを見抜くとは、決して的外れではない。


 敵ではない、か。

 他人をあなどると足元をすくわれる……とは、この場合は的外れな指摘だろうな。

 なにしろ、ガブリエルは美琴の能力をこれ以上なく正確に評価している。


 敵を知り、己を知れば危うからず。

 ガブリエルの言う通り、今の美琴では彼女に及ばないのかもしれない。


「ふふふっ、むずかしい顔をしていますね。祭」


「え? そう? こういう顔なんだけど」


「隠さなくても良いのですよ。あなたは隠し事が得意な人間ではない」


 ガブリエルがおかしそうに、くすくすと笑った。

 僕も照れ隠しに、あははと笑っておいた。


 ガブリエルは僕を見透かすように、じっと見つめてくる。


「ウソばかりの人間には、誰しも嫌気がさす。私は信頼できる仲間を見つけたいのです」

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