第118話 有栖川顧問からありがたいお言葉

 かくして第一回戦、僕の試合がやってきた。

 スタジアムのフィールドに入場する前に……

 教員として監督にやってきている有栖川顧問が、声をかけてくれる。


「ついにこの時が来たわね、祭くん」


「そうですねー」


「辛いことも苦しいこともあった。しかしあなたはそのすべてを乗り越えてきた」


「さようですね」そうだっけ?


「祭くん、あなたなら勝てるわ! 全国の晴れ舞台で! あなたの実力を大観衆に見せつけてやりなさい! あなたはあなたのやり方で好きにやりなさい!」


「僕は僕のやり方で……」


 あ、有栖川顧問が僕の背を押してくれている!

 こんなに心強いことはねえ!(大嘘)


 というわけで、僕は何も聞かなかったことにして、フィールドに入場した。

 実況の人が僕と対戦相手の紹介をしてくれる。


 対戦相手はイケメン好青年だった。ムカつく。

 彼は戦う前に、右手を差し出して握手を求めてくる。


「よろしく、お互い、いい勝負をしよう」


「こちらこそ! 正々堂々、悔いのないように戦いましょう!」


 僕は心からの気持ちを、晴れやかに伝えた!


 ――そして、僕は相手を呼吸困難にして勝った。ぺっ、勝てばよかろうなのよ!

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