第115話 観戦に行こうぜ

「こんな場所で休んでいても退屈だろ、観戦に行こうぜ」


 オサムがそんなふうに僕を誘ってくれた。

 僕は他人の試合に興味なんてないんだけどなあ。


 ふーむ、どうするべきかな……


「実は可愛い女の子を見つけてさ! 応援しようと思って!」


「それは僕も応援しないといけないな!」


 前言撤回、男の子は単純なのだ!

 可愛い女の子と聞けば、心が躍る生き物。それが男子学生なのだ。


 思春期に心をドキドキさせてくれる女子ってのは貴重だからなあ……

 ま、僕の場合は前世をふくめて2回目の思春期だけども。

 精神年齢はともかく、思春期は思春期、その辺りは新鮮な気分さ。


「善は急げだぜ! 試合がはじまっちまう!」


「友よ、今が駆ける時だ」


「おう、わかってるじゃねえか、祭!」


 僕たちは不純な動機で、そそくさとスタジアムに舞い戻った。

 観客席は満員で、立ち見しかできなかったけど……まあいいさ。

 遠目にも分かる、スタジアムの中央に立つには金髪の少女だ。

 留学生なのかな? 彼女は魔法能力で【翼】を生やして、華麗に宙を舞う。

 本人の美貌もあいまって、さながらそれは天使様だ。


 彼女はたった1本の剣を振るって、一瞬で対戦相手を斬り捨てる!


「勝負あり。第1回戦、第4試合の勝者は、ガブリエル選手です」

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