第100話 ただいま
翌日、僕は列車に揺られてひとり学園の寮に戻った。
美琴のことは心配だけど、ひとまずは平気だろう。
なにせ帰り際に、美琴はこう言ってくれた。
「ありがとうございました。祭くん……それと、ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。人は誰でも、気落ちする時があるもんだ」
「祭くん、あなたを倒すのは、私です」
「へえ?」
「約束します。お姉ちゃんじゃない、今度こそ、私があなたに挑戦しますから」
僕は何も答えなかった。
その時の美琴が、とても良い笑顔をしていたから、答える必要はないと思った。
「またおいで」とお母さんが、言ってくれた。
「二度と来るな!」とお父さんが、威嚇してくれた……
そうして週末の休日が終わり、月曜日がやってくる。
魔法能力者の全国大会はもうしばらく先だ。
おもしろくもつまらなくもない、平凡な日常が戻ってくる。
めずらしく早起きした僕は、誰もいない朝の教室にやってくる。
誰もいない、いないはずの教室で、僕を出迎えてくれたのは――
「ただいま」
僕の友達だ。
おかえり、と、僕は美琴に笑顔であいさつをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます