第55話 よく眠りました!

 30分後、催眠魔法が解けた美琴は、ふつうに目を覚ました。


「よく眠りました! 気分爽快です!」とは、いつも通りの美琴のセリフだ。


 反対に気疲れした様子の僕たちを見て、美琴は不思議そうにしている。


「どうしたんですか? まつりくん? 陰気な顔をして」


「陰気なのはもともとだよ……」


「そうでしたか。あ! ところでどうでしたか? 私の催眠療法の結果は!?」


 たずねられたギンガ先輩とシンジ先輩が困った表情で見合った。

 本当の話を伝えるべきかどうか、迷っているようだ。

 とはいえ、言い出したのは僕だからな、伝える判断は僕に任せてもらうとしよう。

 というわけで僕は――


「美琴、おまえさ。自分のことを魔王だとか、むちゃくちゃ言ってたぞ。ビビるわ」


 僕は美琴に、ふつうに本当のことを伝えることにした。

 隠したってしかたがないよねー、隠すほどの話でもないしさー。

 美琴は驚き、「え、ええ!?」と動揺していた。気持ちはわかる。


「自分は魔王で、それで僕を指名して私と戦えーとか言ってたぞ。ビビるわ」


「わ、私、そんなことを言ってたんですか? ほ、ホントに?」


「ビビるわー」


 からかい半分で、僕はおもしろおかしく笑った。美琴は大いにあわてている。

 可愛いな。でもさすがに可哀想になってきたので、そろそろ本題に移る。


「で? 結局、美琴はその魔王さまに、心当たりがあるのか?」


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