無意識からの声
第51話 美琴の無意識
美琴の目がとろんとする。
こくりこくりと、うたたねするみたいに脱力する。
へえ、これが催眠魔法の効果なのかな?
戦うばかりが魔法能力ではないということか、不眠症に効きそうな魔法だな。
僕がのんきな感想を伝えると、シンジ先輩は笑ってくれる。
「たしかに催眠魔法は不眠症に効くよ。疲労の解消にはもってこいだ」
「さようですか。で? 美琴の調子はどうです?」
「焦るな。たった今、彼女に催眠魔法をかけた。意識と無意識の境で、彼女の深層心理を浮き彫りにしている」
「というと?」
「この状態でなら、彼女が意識しない“声”を俺たちも聞けるだろうさ」
シンジ先輩がひとまず、腰を落ち着けた。
僕たちは黙って、美琴の反応を待つ。
声をかけようかとも思ったけれど、余計なことをして失敗するのはめんどうだ。
水差し魔の僕にはめずらしく、黙って、静かに、結果を待つ。
待つ、待つ、待つ……
3分ほど待って、そろそろ水差しがしたくなってきたころに。
「口惜しい」
美琴が、ポツリとつぶやいた。
うつろな両目をした美琴が、しかしはっきりとした声音で言う。
「口惜しい。あの程度の能力者に、“私たち”が後れをとるなんて」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます