第49話 催眠療法をやろう
「ギンガ先輩は魅了魔法とか、催眠魔法とか、メンタル系の魔法能力者をご存じありませんか?」
「いきなりだね……さっき言ってた、美琴さんのお悩みに関する話かな?」
「そうですね。最初はカウンセラーをすすめようと思ったんですけど、美琴のお悩みはメンタルの不調とは少し違う気がしたので」
幻聴とはいっても、美琴の幻聴は自傷するタイプ害悪ではなさそうだしなあ。
いきなり治療しろと言うより、段階を踏んで正体を確かめればいいと思ったんだ。
そのむねをギンガ先輩に伝えると、彼は「わかった」とうなずいてくれた。
「後輩の頼みだ。僕でよければ協力するよ。僕のクラスメイトに、催眠魔法の使い手がいる。彼に相談して、お悩み解決を手伝ってもらおう」
「ありがとうございます。ちなみに、催眠魔法って、どんなタイプの?」
「文字通り催眠だね。浅い眠りに導いて、意識と無意識の境界から言葉を引き出せる……らしいよ。深層心理ってやつ、本人はそういうのが好きで、将来に向けて勉強してるらしい」
ドンピシャだな。この件に限っては最高適性の能力者だ。
僕はギンガ先輩にお礼を言って、その人の仲介を頼んだ。
美琴の深層心理か……
無意識の言葉は、人間の本心とはまた別なのかもしれないけれども、すこしだけ興味が湧く。目的は美琴が聞く“声”の正体をあばくことだから、やや脱線だけどね。
「シンジっていうやつだよ。今日の放課後、同好会に連れて行くから待っていてくれ」
シンジ先輩か、どんな人だろう? 会うのが楽しみだ。
チャイムが鳴る。僕は期待で想像をめぐらしながら、その日の授業に身を入れた。
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