第46話 優勝
「そ、そこまで! 勝者、海野、
審判役の先生に認められて、僕は校内選抜大会の優勝者になった。
やったぜー、これで僕もひとかどの能力者だ!
「見てくれましたか、有栖川先生、僕の活躍を!」
「ええ、よくやったわ。最初からやる気を出してほしかったわね」
「やだなあ、僕はいつだって全力投球の優等生ですよ!」
有栖川顧問が、笑顔で、こめかみのあたりに青筋を浮かべていた。
さすがに冗談が過ぎたか。
不戦勝で勝ち上がったやつのセリフじゃないよね……てへぺりんこ!
「教え子に殺意が芽生えたのは初めてかもしれないわね」
とかいう有栖川顧問のセリフは聞かなかったことにしよう。
そそくさと引き上げていった僕を、出迎えてくれる人がいた。
美琴だ。彼女はすばらしい笑顔で、僕を称えてくれる。
「おめでとうございます! さすがの勝利ですね、祭くん!」
「はっはっは、楽勝だぜー、僕にかかればこんなもんよー」
「楽勝、ですか……」
その時、美琴がほんの少しだけうつむき、表情を曇らせる。
失言した僕が声をかけるよりも早く、美琴は表情を改めた。
「まだ3位決定戦がありますから! 私のことも応援してくださいね!」
もちろん。僕は仲間の健闘に期待して、美琴を笑顔で送り出した。
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