決勝戦

第41話 美琴が敗れた後に

「負けました……悔しい……」


「まだよ、美琴さん。地方大会の出場枠は3枠。3位決定戦があるから、希望はまだある。気持ちの切り替えが必要よ」


「はい、有栖川先生……」


 美琴が悲しげにうなだれる。

 気持ちの切り替えとはいっても、やっぱりすぐには難しいか。


 だから僕は、美琴を元気づけて言う。


「まあ見てろよ」


「へ?」


「仇はとってやる」


 すっとぼけた顔できょとんとしている美琴に、僕は笑った。

 【物質憑依ポルターガイスト】ねえ。

 いいじゃないか。レベル9とレベル9で、ちょうどよく互角だ。

 僕としても、不戦勝を繰り返すのも飽きていたところさ。


「うらやましいです。私も、まつりくんみたいになれたらな……」


「僕みたいなダメなやつになっちゃダメだろ。ま、決勝戦は応援してくれよな」


「はい! がんばってください! 祭くん!」


 人に応援される経験なんて、前世をふくめて初めてかもしれないな……

 まあがんばってみるさ。やれるだけ、やってみよう。


 呼吸困難にしても殺せない相手なら、ちょっとだけ、僕も本気になろう。


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