第42話 決勝戦

 大勢が見守るグラウンドのド真ん中で、僕とシオンが向かい合った。

 美琴に斬り飛ばされた首を医療魔法でくっつけて、生身のシオンは万全だ。


「うふふ、いいしょうぶをしようねえ、海野くん」


「ええ、こちらこそ、いい勝負をしましょう。先輩」


「……どんなふうに?」


「それはもう、それはもう……」


 決勝戦、試合開始の合図とともに、僕たちは動いた。


「「こんなふうにね!!!!」」


 僕は水圧の刃を雨あられと――

 シオンは【戦慄人形活劇ドールズウォーズ】をずらりと――


 僕たちは持てる戦力を数限りなく召喚して、試合開始と同時にぶつけ合った。

 水圧の刃に貫かれて串刺しになる人形たち。

 さりとて、命を持たない人形を完全に止める手段は、ほぼない。


 こいつらはあやつられているだけだ。

 だから僕が狙うべきは、操り手の紫雲院シオン。


「とりあえず、あいさつ代わりってことで」


 僕はシオンの背後に水圧の刃を召喚して、死角から彼女の心臓を貫いた。

 鮮血を散らして倒れるシオン。

 人殺しなんて、とてもほめられる行いではないけれど……

 バイオレンスに湧きたつギャラリーの熱狂をあおって、僕は笑う。


「忘れるなよ。僕だって、レベル9だ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る