第40話 レベル9、ポルターガイストの脅威

 審判が決着の宣言をしようとしたとき、異変は起こった。

 美琴の背後に立つ人形たちが、ケタケタと笑い始めたのだ。


「すごいねえ、天川ちゃん。美少女剣士だ。かっこいいねえ、あはは」


 ゾッとする。

 紫雲院シオンは首を斬られて絶命していた。

 なのに、彼女が操る人形は、彼女の声でおもしろおかしく笑っている。

 動揺する美琴に、シオンの声で笑う人形が教えてくれる。


「ま、こんなものよ。わたしの本気モード。わたしの本当の能力はねえ? 【物質憑依ポルターガイスト】っていうのよね」


「ぽ、【物質憑依ポルターガイスト?】


「そう、これがわたしの隠し芸レベル9


 死なない。つまり肉体のくびきから解放された精神存在ということか?

 魔法能力だとしても、それはあまりにもむちゃくちゃな能力だ。

 死なない……つまり不死、いや、いっそ不滅か。

 美琴の視点では、斬っても殺せないのだから、相手を倒す手段がない。


 しかしシオンの視点では……


「ところで天川ちゃん、人間って、息ができないとどうなるのかな?」


 復活した人形の軍団が、一斉に美琴に襲い掛かる!

 強化された身体に凶器の刃は通らない。しかし……


「口をふさいで、息をさせなければ、人間は死ぬでしょ」


 美琴は数の暴力で身動きを封じられて、窒息の状態に追い込まれた。

 「勝負あり」の宣言を聞き届けて、紫雲院シオンが、ケタケタと笑った。


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