第37話 戦慄人形活劇【ドールズウォーズ】

「双方、合意と見てよろしいですね?」


 美琴と対戦相手の女の子がうなずき、立ち会う。


「魔法剣士校内選抜大会、準決勝第2試合――はじめ!」


 美琴が刀を抜刀した。

 対戦相手の女の子は、というと……


「おいで、わたしのおともだち」


 空間がゆがみ、どこからともなく人形があらわれる。

 身長1メートルくらいの人形が“山ほど”、だ。

 ゴシックドレスを着飾っていたり、おもちゃの兵隊がいたり、種類はさまざま。


 なんだこれ? 人形遊びが能力なのか???

 なんて、失礼なことを考えていた僕の認識はすぐに改められる。


 人形たちがホラー映画もかくやの形態変化で、腹から、関節から、口から、目玉から、ナイフやら包丁やらニードルやら、凶器の数々を取り出したのだ。


 怖っ!? グロテスクだな!? 怖っていうか趣味悪!?


「これがわたしの【戦慄人形活劇ドールズウォーズ】」


 人形、人形、グロテスクな人形の群れ。

 ひとりで兵隊ごっこをしていると言っても過言ではない。

 ただし、戦場ではなく、包帯を巻く野戦病院の……

 僕だったら趣味の悪さに委縮しているところだけど……


「不足はありません。いざ、尋常に」


 美琴に限ってそれはない。氷のような闘志で、美琴は刀を凛と構えた。

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