第35話 刀が折れなくなる魔法です

「私の魔法能力ですか? レベル0ですけど、まず、刀を呼べるのがひとつ」


「まずひとつ、もうひとつあるのか?」


「はい、そして刀の強度を高めて、折れない刀にできるのが、私の魔法です」


「え?」


「刀が折れなくなる魔法です。本当にレベル0ですよね。とほほ……」


 どんな魔法だ? と思ったけど、刀の剛性を高められるということか?

 うーん、それって、意外と強い魔法じゃないか?

 刀に限らず、物が壊れないようにできるって、便利だと思うんだけども。


「なあ美琴、たとえばなんだけど」


「はい、なんでしょうか?」


「その魔法を鎧に使って壊れない鎧にできたりしないのか?」


 思いつきで聞いてみたら、美琴はとんでもなく驚いた顔をした。


「そ、それは考えませんでした! できるかもしれませんね! できると思います!」


「……剛性、強度、単純明快に【強化】の魔法か? RPGなら支援タイプだな」


 美琴は鎧を使わないから関係ないけどさ。

 美琴の場合は、自己申告でレベル0扱いになっている気がする。

 駅で別れるときに、美琴はこんなことを言う。


「だとしても、私には剣の道しかありませんから、折れない心を武器に戦います」


 折れない心か。豆腐ハンバーグメンタルの僕に足りないものだな、と僕は苦く思った。


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