第34話 そういえば今更なんだけど

 対戦相手の体調不良で不戦勝の快進撃を続ける僕!

 有栖川顧問が「やりやがったなこいつ……」みたいな冷たい目で、僕を軽蔑している気がするけど、そんなの関係ないよね! 勝てばよかろうなのだ!


 対して、美琴は真っ向勝負の心意気で勝利を得ていた。


「両断、【剛剣・竹割たけわりの型】」


 刀剣が一閃!

 対戦相手が用いる巨大な両手剣を、美琴は大上段から一刀両断した!

 刀の切っ先を喉元にピタリと添えられた相手はたまらず白旗を上げる。


「ま、まいった! ギブアップ! 降参だ!」


 まさに破竹の快進撃だ!

 ほとんど無能力に近いレベル0の魔法剣士が並みいる強豪をばったばったとなぎ倒す!

 いやあ、かっこいいねえ、僕もあんな風に刀を振り回してみたいよ。

 でもま、僕は剣術よりも魔法剣士の“魔法”が好きだから、今のままでいいけどね。


「おつかれー」


「ありがとうございます。今日の日程はここまでですね、みなさん強敵でした」


 屈託のない笑顔で、爽やかな青春の汗を流す美琴の笑顔がとてもまぶしい。

 僕は全戦不戦勝でAブロックを勝ち上がったからな……


「おつかれさまでした。よかったら、途中まで一緒に帰りませんか?」


 駅で別れるまで、という話かな。

 とくに断る理由もなく、僕は「いいよー」と了承した。

 下校途中の帰り道に、そこで僕はひとつ気になっていた話題をたずねる。


「そういえば今更なんだけど、美琴の魔法能力って、なに?」

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