第29話 水中の世界
緊迫した雰囲気の中、エースヒロモトが最初で最後の1球を投じる。
「いくぜ、後輩、こいつが俺の真のウィニングショット――」
球種を宣言するのは、わかっていても打てないと自信があるからだろうな。
「【
ここでヒロモト先輩の目と耳と鼻に水を突っ込めば勝てるんだけどな。
さすがにそれは真剣勝負の精神に反するさ。
これから僕がやろうとしていることも、大概、インチキだけどね……
勝負は一瞬、針の穴を通す気持ちで、僕は自分の魔法能力を集中させた。
「水の世界を見せてやる」
ボールを海に投げ入れたら? どうなる?
ボールをプールに投げ入れたら? どうなる?
おもいっきり減速するさ。水の中では力押しのスピードは出ない。
だから僕はボールの進路に、強い水圧の
ホームベースに届くまでにちょうどよく減速するように、な!
「な、なにい!?」
こうなれば、無回転ボールなんて、ただのスローボールだ。
ちょうど打ちごろになったボールが、水槽から出てくる。
変化もしていない。スローボールがド真ん中。
これを打ち損じるのは、いくら素人でも難しいさ。
「ということで――」
金属音! 綺麗な
センターフライってところかな? 卑怯ですみませんね、ヒロモト先輩。
「これで、僕たちの勝ちだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます