第26話 必殺の魔球

 ファールボール! ファールボール! ファールボール!

 ボール1球の外しもなく、投手と打者の真っ向勝負が続く!

 一見して、勝負は互角だ。しかし……


「そろそろ目が慣れてきました」


 美琴がついに抜刀術ではなく、野球のバッティングフォームで、構えた。

 しかも神主打法、どこで覚えて来たんだ、こいつ。パワプ〇か。

 2ストライクだ。

 しかし、このとき追い詰められているのは、間違いなく投手の方だろう。


「俺の【稲妻剛球ライトニングストレート】が通用しない、か」


 マウンドで天をあおぎ、野球部エースがフッと息をつく。

 その両目に燃える炎は、決して諦めの色をしていない。


「上等だ、サムライ気取り! なら、俺はおまえの上を行くまでさ!」


「やれるものなら、どうぞ」


 最後の投球になる。

 そう確信させる気迫の応酬で、投手がマウンドを踏む。そして――


「くらえ、これが甲子園に懸ける俺の奥の手――」


 投げ放たれたのは、“無回転”! 圧倒的な変速軌道の剛球!


「【無回転稲妻剛球ライトニングナックルショット】!!!!」


 球速150キロに迫ろうかという、無回転のナックルボール!?

 ただの危険球じゃねえか! という野暮なツッコミはさておき。


「心眼、抜刀!!!!」 そのとき、美琴の気迫がグラウンドにとどろく!

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