第25話 剛剣、抜刀

 第1球――内角低め、やや甘めのストレートを……

 金属音! ファールボールが後方の金網にガシャンと当たる!


「うおっ、いきなり振った!」


「あの体勢で、まったく力負けしていない、すごいな美琴さん……」


 第2球――ファールボール! 第3球――ファールボール!

 あっという間に2ストライクに追い込まれても、美琴の眼光は揺るがない。


「へえ、やるな。サムライ気取りは伊達じゃないらしい」


「お世辞は結構です。次を、お願いします」


「つれないな。だがいいぜ。これが、俺の全身全霊レベル6!」


 第4球! ついに、エースヒロモトが稲妻を身にまとい投球する!


「【稲妻剛球ライトニングストレート】!!!!」


 剛球一閃! しかし対する美琴も、気迫負けをしない!


「抜刀!!!!」


 静寂と空蝉うつせみのごとき斬撃スイングスピード

 金属音が鳴り響き、ファールボールが金網に勢いよく直撃した!

 エースヒロモトが冷や汗を流す。


「これを対応するか。バケモノかよ、お嬢さん……」


天川あまかわの剣に敵はありません。次を、お願いします」


 そのとき、野球部エースの口元に、負けず嫌いな笑みが浮かんだ。


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