第22話 ギンガ先輩の戦い

「同好会長、相手にとって不足はないぜ」


 野球部のエース、ヒロモトが不敵な笑みを浮かべた。

 マウンドに上がったエースに対するは、諸星もろぼしギンガ先輩。

 バッターボックスに入って、ふたりは視線の火花を散らす。


「おいギンガ、勝てると思うなよ。文化系同好会には悪いが、全球本気で行く!」


「望むところだ、さあ来い! 僕はこう見えて、体力テストの優良者でね!」


 第1球! ――外角低め、直球見逃し、ストライク!

 やや甘めのコースだったか? 

 しかし初球から打ちに行くのは、やはり打者の立場では難しい。

 ここはおよそ定石通り、軽くカウントを取りに来たようだ。

 投手と打者の一触即発の雰囲気を察して、美琴が息をのむ。


「どきどきします。ギンガ先輩、勝てるでしょうか?」


「知らん。僕は応援するだけだ」


 ほんとに知らん。なんだ、このスポ根展開は……

 ストライクを取ったからといって、投手の側に油断はない。

 ギンガ先輩が涼しげに微笑んだ。


「やるな、素人相手にも容赦がない」


「そっちこそ、手を出してくれてもよかったんだぜ?」


 第2球! ――真ん中高め、ボール! 分かりやすく1球外してきたようだ。

 素人相手にも甘く入らないのは、野球部エースの礼節だな。

 さては、次は入れてくるか、投打ともに、もう1球様子を見るのか……


「そろそろ、勝負といこうか」ギンガ先輩が、ニヤリとした。

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