第20話 道場破りにいこう

「みなさん、ではさっそく、他の部活との手合わせにむかいましょう」


「え、今日は決起集会でつかれたから、明日にしない?」


まつりくん、善は急げですよ。人間の向上心に終わりはないのです」


「有栖川先生! 今こそ、『その必要はないわ』って言ってくださいよ!」


「許可します。野球部が狙い目じゃないかしら? グラウンドにいるからね」


 なんでいきなりそんなメジャーな部活動を狙うんだよ……

 つーか、魔法剣と野球に何の関係があるんだよ……

 僕が理不尽に負けて頭を抱えていると、同好会長が優しく肩を叩いてくれた。


「同情するよ。後輩」


「あんたも道連れですからね。逃がしませんよ」


一蓮托生いちれんたくしょうさ。つきあうよ……」


 同好会長が死んだ魚みたいな目をして、乾いた声で笑った。

 ちなみに、こちらの先輩、お名前は、諸星もろぼしギンガというらしい。

 ギンガ先輩、壮大でカッコいい名前だけど、それはそれとして苦労性だな……


「ギンガ先輩、僕ら、野球部に行ってなにをするんだと思います?」


「野球じゃないかな?」


「ですよねー」


「あ、私、ピッチャーがやりたいです!」


 はい、なら僕、代打がやりたいです! ベンチウォーマー!

 くっそー、ふ ざ け や が っ てえええええええええええ!

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