第3話 妄想世界の住人と僕 〇
「ところでさ…アンタ誰よ…?」
僕は申し訳ないとは思ったが
話し掛けてくれた男子が
一体誰なのかまったくわからない
「あぁ…やっぱり俺の名前は覚えてないか!」
「マジでごめん…覚えてないわ…」
――いや、覚えてないと言うかマジで誰なのかわからん…
「んじゃ改めて俺は〇〇〇っつーんだ!
よろしくなっ!!〇〇〇〇ッ!!」
……?
少し妙な違和感を感じた
名前の部分に砂嵐の様なノイズが走った…
「ごめん、もう一回名前を言ってくれない?」
一応、念の為に名前を聞き返す事にした
「は?あ…いや、だから俺は〇〇〇だって
おー…どした?ぼけーっとして…」
やはり名前だけ謎のノイズが入る…
こうなったらヤケだ…
名前に謎のノイズが入って聞こえないなら
僕が適当に名前を言ってやる…
「あぁ…いや、すまんタツヤ…ちゃんと覚えてなくて…」
「おうっ!気にすんな!〇〇〇!」
す、すげぇ…適当に名前を言ったら
この黒髪イケメンの男子の名前が
“タツヤ”になった…
流石、妄想世界……!
つまり会う奴、話掛ける奴は
1から僕が名前を考えないといけないってことだな…
oh!!ナニソレ!クッソ面倒臭いっ!!
「にしても、ホント珍しい事もあるもんだなぁ」
僕をじっと見ながらタツヤが関心した様に呟いた
「そんなに珍しい事なのか?」
「うん、珍しい…なんか心境の変化でもあったのか?」
心境の変化と言うよりも
妄想世界に僕が入っただけなんだけどな…
ま、話せばややこしくなるし…
下手したらヤバい奴認定されそうだから黙っておくか…
「別に心境の変化はないなぁ…僕は僕だし…」
そう…僕はどこまで行っても
変わる事の出来ない人間なのだから…
「ま、そういう事にしといてやるよ…」
「……?」
するとタツヤが僕に近付いてきた
「ところでさお前って、普段何してるん?」
「ちょ…近ぇ!!離れろ!」
「あぁ~悪ぃ悪ぃ…普段話せないから
ちょっと興奮してたわ」
そう言うとタツヤは僕の隣の席に座った
――えっ? 待って、まさか僕の隣ってタツヤなの!?
いや、まぁ…別に良いけどさ…
「そうだなぁ…普段何してるかね~…う~ん」
僕の高校時代は家に帰ったら
ネトゲで女キャラを使って…画面を見てニヤニヤしt――
うん、この話は気持ち悪いから
ここまでにしておこう…
流石にバカ正直にこの事は言えないなぁ…
よし、ここは普通に……
「ゲームぐらいしかしてないなぁ…」
「へぇ~ちなみにどんなゲームしてるん?」
めっちゃ食いつくやん!
「えっと…ネトゲ…」
くっそ…妄想世界までコミュ障の弊害が…
「へぇ…面白い?そのゲームのタイトルは――」
そうタツヤが言い掛けたところで
教室内が少しだけ騒がしくなった
「ん?」
少し気になり
騒がしくなった所に視線を移すと…
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