第2話 妄想の世界の男子生徒と僕 〇

ハッと目を覚まして、辺りを見渡してみると

先程まで居た家の中ではなく、どこかの教室の中に居た


見た感じ僕は

ここの学校の生徒と言う事になっているみたいだ

窓側の席で日差しが僕を刺してくる


「どうやら妄想の中に入ったみたいだな…」

僕は小声で呟いた

その呟きは教室の騒音と共にかき消された


周囲を見渡してみると

誰かもわからないクラスメイトたちが

和気藹々と談笑しているのが見えた


「妄想の中までぼっちなんだな僕は…」

それもそうか…

学生時代から僕には友達が少なかったから

人とのコミュニケーションなんてものは

とれたりしない


妄想なんだから自分から行けだって?

…そんな恐ろしい事出来る訳がないだろう!


仮に僕が適当にクラスメイトと話し掛けに行き

色々と失敗でもしたら

ぼっちがより加速する事になるのだから!


それだけでも怖い事だが

最悪いじめの標的になるリスクさえ

あるのだから…


妄想の中でいじめはないとは思うが

仮に妄想の中まで

いじめ云々はそれは御免被ると言う事で

僕は誰にも話せないでいた…


「ま、結局の所…僕が臆病なだけか…」


「なーに一人で呟いてんだ」


ッ!!


僕は驚き、声のする方を見ると

そこには名前なんて

まったくわからないクラスメイトの男子が居た


うん、見るからに陽キャそうな見た目…

と言うか、黒髪のイケメンだ…


「よっ!おはよー」


僕と顔が合った男子が軽く挨拶をしてきた


「お、おぅ……おはよ…」

それに対して

顔を逸らしながら挨拶を返すと

挨拶をしてきた男子が驚きの表情に変わった


「……?どうした?」


「い、いや…いつも挨拶しても無視されるから

珍しい事もあるんだなぁと思ってな…」


男子生徒は頭を掻きながら、僕に答えてくれた


いつも挨拶してくれるクラスメイトを

無視するなんて、妄想の中の僕は酷い奴なんだな…

それともコミュ障がリアルの僕よりも酷いとかか…?


「ふむ、それは悪かった…」

とりあえず不器用ながら僕は男子生徒に謝罪した


「へっへっへ…良いって事よ、気にすんな」


男子生徒は笑顔で言葉を返してくれた


妄想世界一日目にして、クラスメイトと

ファーストコンタクトがうまくいったと

少しだけ安堵する僕であった


――いや、妄想なのだから当たり前か…

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