第60話
僕の配信の最後の同接数やスーパーチャット額はとんでもなかったため、また気絶しそうになったのは駆動さんにしか知られていない。
そして、駆動さんや担任の先生、警察やダンジョン管理者からはこっ酷く叱られ、家に帰らされた。
ちなみに
一応ピーマン料理もあったものの、お肉料理で中和して食べることができて助かったなぁ。
そして現在、僕は家のソファで寝そべっている。
「あー……暇だなぁ……」
僕の行動には色々と問題があったみたいで、数日間謹慎処分となってめちゃくちゃ暇しているのだ。
涼牙はもう配信飽きて切っちゃったし、ペットたちのお世話も終わったし、宿題も無いし……。何しようかなぁ。
『クルルゥ』
「ピー助、スマホつつかないでー」
そんな時、ふと見慣れた顔が画面に映った。
「……あれ、〝
僕の幼馴染の一人で、白阿修羅の名付け親である凛理という女の子が突如画面に映し出される。〝リリーお嬢様のダンジョン配信チャンネル〟というチャンネルで配信していた。
そういえばだいぶ前にメールで『配信するから見てくださいね』と言われたような……。
「せっかくだし見てみよ!」
タップをし、凛理の配信を見ることにした。
金色のハーフアップに翡翠色の目を持ち、フリフリのドレスと剣を持つこの人こそが凛理である。
Dランクのダンジョンで配信しているらしく、バッサバッサとゴブリンたちを薙ぎ払っていた。
『ふー。この程度の魔物は話になりませんね。ここいらでワタクシ特製のお紅茶でも飲んで休憩しましょうか』
:さすがですお嬢様
:お紅茶の時間ですな
:ゆっくり休憩しましょうお嬢様
:ゴブリンを倒す姿は惚れ惚れしますね
:このコメ欄なんだ……?
:↑リリーお嬢様のコメ欄は洗練された執事リスナーが多いのですよ
:洗脳さてそう……
一つ一つの仕草がどれも綺麗なもので、まさにお嬢様の名を冠するには相応しいと思えるほどだ。
『うふふ♪ ではもう少し進んだら今日の配信は終了いたしますわ』
その後も凛とした姿勢や優雅さを見せつけながら配信が続き、リスナーさんたちを魅了していた。
僕は普段の彼女の姿を知っているので、なんともむず痒い気持ちになっている。
『では、また次の配信で会いましょう。それでは、ごきげんよう〜♪』
:ごきげんよー!
:もう終わっちまったか……
:別の配信見てから来たが、すぐ終わっちまったな
:今日もお美しかったですね
『…………。ふぅ、配信終わりましたね』
「あれ?」
カメラのボタンを押したかのように見えが配信は終了しておらず、そのまま凛理の姿が映し続けられていた。配信の切り忘れをしているのだろうか。
リスナーさんたちも同じように思ったのか、なんとかして知らせようとするが全く気がつく素ぶりはない。
『……ん? なんだか叫び声が聞こえた気がしますわね……。めんどいけど行きましょうか』
:おっと?
:一瞬なんか剥がれかけてたようなw
:盛 り 上 が っ て き ま し た
:お嬢様気付いてください!
:まだ配信中だぞぉーー
:こーれは大変なことになってきたなww
ずっと配信はつけっぱなしだが、凛理はお構いなくダンジョン内を散策し、声の主と思われる人物に遭遇していた。
壁に貼り付けにされている女性がおり、助けを求めている。
『あ、あの! 助けてください!』
:なんか……変じゃね?
:顔に違和感ある希ガス
:不気味の谷現象ってやつだな
:これミミックの上位互換じゃね!?
:Dランクダンジョンだぞ?
:イレギュラーだ!!
:人型になって助けを呼んで、そこでバグっと行くやつだな!
:しかも時間経過で出口も塞いでくる厄介な魔物
:リリーお嬢様もしかして知らないんじゃ……
:やばいやばいやばい
凛理は『ふむ』と唇に指をつけて考え込んだ後、こう言い放った。
『ドMのお方でしたか。お邪魔して申し訳ございません』
『違うに決まってるでしょ! 魔物に囚われたから助けて欲しいの! 気分悪くて今にも吐きそうで……』
『ああ! それならご安心を。ワタクシ、他人がゲロを吐く姿を見て興奮する性癖を持っておりますの♪』
……うーん。
どうやら、凛理の化けの皮が剥がされ始めたみたいだ。
[あとがき]
断言しますが、リリーお嬢様はやべー女です。
次回でさらにハジけます。お楽しみに。
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