第10話 悪夢を見た夜

☆(長住隼人)サイド☆


夢を見た。

そしてそれは悪夢であり。

俺は飛び起きた。

どんな悪夢かといえば端的に言うと桜が飲み込まれる完全に洗脳されて飲み込まれる悪夢であるが。

それもあのクソ野郎にだ。


「.....こんな夢を見るとはな」


俺は絶望を感じながら汗をかく。

それから俺はベッドから降りてからそのまま本を読みはじめる。

正直何か別の事をしてないとまるで落ち着かなかった。

そう考えながら居るとドアがノックされた。

見ると夜中の2時なのだが。


「はーくん起きてる?」

「ああ。お前か春」

「そうだね。私だよ」


そしてドアが開いてから春が入って来る。

その顔は深刻そうな顔をしている。

俺は「?」を浮かべながら本を置きながら笑みを浮かべる。

「どうした?」という感じでだ。

すると春はこう話した。


「えっと.....はーくん。大丈夫だと思う?」


という感じでだ。

俺は訳も分からず「何がだ?」と聞いてみる。

すると春は眉を顰めながら「夢を見た」と言い辛そうに言葉を発する。

そして俺を見てきた。


「お姉ちゃんが飲み込まれる夢を見た。クソ野郎に」

「.....ああ。そういう夢か。俺も見たよ」

「.....大丈夫と思う?」

「そうだな.....後はアイツの忍耐力だろうな」


そう言いながら俺は春を見る。

春は「そうだね.....」という感じで沈黙する。

「お姉ちゃんを信じたいけど。だけど1度裏切られているから」と俯きながら話す春。

けっこう傷付いている様だ。

俺はその様子を見ながら顎に手を添える。

そして立ち上がってから春を撫でる。


「春。多分大丈夫だ。アイツは.....今頑張るって言ったから。だから」

「そうだね。あ。その。今日一緒に寝ても良い?」

「一緒に寝ても良いかっておま.....」

「お願い。今日は不安で寝れそうにない」

「そうか。.....分かった。そこまで言うなら一緒に寝るか」


そして俺は春を見る。

春は俺に笑みを浮かべてきた。

「ありがとう。はーくん」と言いながらだ。

その顔に撫でたくなって撫でる。


「ん.....」

「お前本当に気持ちよさそうな反応をするよな」

「それはそうでしょう。好きな人にやられているんだから」

「もう一切隠さなくなったなお前.....」

「それは当たり前でしょう」


笑顔になる春。

すると欠伸をし始めた。

俺はその顔を見ながら「眠たいか?」と聞いてみる。

春は「そうだね。何だかはーくんの顔を見たら安心した」と言葉を発する。


「そうか。.....じゃあ寝るか」

「え?でもはーくんは起きたばかりじゃ」

「俺はどうでも良いよ。お前が寝れれば」

「いや。良くないよ。はーくん」

「そうか。なら少しだけおしゃべりに付き合ってくれ」

「うんうん」


そして俺は春に負担を掛けさせない様に少しだけ話してから寝る事にした。

それから翌日になる。

俺達は高校に登校する為に準備を始めた。

そうしてから。



「お兄ちゃん。はいお弁当。それから春も」

「ああ。桜。ありがとうな」


そんな会話をしながら俺は桜からお弁当を受け取る。

それから春もお弁当を受け取った。

因みに俺と桜の呼び名がそうなったのは春には説明済みだ。

(そうなんだね)と納得してくれた。


「お姉ちゃん」

「ん?何?」

「私はお姉ちゃんを期待しても良い?」

「期待しても良いってのはどういう意味?」

「.....お姉ちゃんは浮気しないよね?」


その言葉にお姉ちゃんは「!」と反応する。

俺も目だけ動かしながら桜と春を見る。

すると春は「お姉ちゃんはあっという間に取られてしまいそうだから」と不安げな顔をする。

これに対して桜は唇を噛む。

それから「私はもう大丈夫。約束する。私はもう裏切る真似はしない」と真剣な顔をする。

その言葉に春は頷いた。


それから俺達は家事をすると言って残った桜を置いてからそのまま高校に登校する。

すると通学路で山吹美夜子(やまぶきみよこ)と出会った。

俺達の高校で出会った幼馴染の様な感じの人間だ。


「おっはよん」

「おっはよん。美夜子さん」

「どしたの?調子悪いの?お二人さん。何だか暗いから」

「そうだな。まあ色々な」


そういう話をしながら俺は美夜子を見る。

美夜子はニコッとしながら俺達を見ていた。

目鼻立ちが整っており。

そして長い髪だが整えられている髪形に。

本当に美少女である。


俺は眩しく感じながらその顔を見る。

すると美夜子は「ところで」と言い出した。

それから「君達。エロゲしなーい?」とどっかの宣伝の様に興奮気味に話してくる。


「.....またそれかお前は」

「み、美夜子さん.....」

「私は君達をガチオタに染めたいから」

「染めるな。いい加減にしろ」

「.....」


何というか美夜子はこう清楚に見えるがガチオタである。

なので当然エロゲ.....はおかしいだろ。

そもそも17歳だろコイツ。

ガチオタ色に染めようと洗脳してくる。


「.....でも楽しそうですよね?」

「楽しいとかそういう問題じゃない。JKがやる時点で問題だ。落ち着け春」

「そういうオメーはアニメオタじゃあないのか」

「確かにな!!!!!半分はお前のせいでな!!!!!」


全くこの野郎と思いながら美夜子さんを見る。

実は半分ぐらいは洗脳された。

そして当然春もだが洗脳された。

アニメオタク色にだ。


「ではエロゲもやってくれるかね?」

「ハードルが高いわ!!!!!」

「でも楽しくなるならそれは.....」

「戻れ!春!」


全くコイツ等!

思いながら居ると「まあ冗談は置いておいて」と笑顔になった美夜子。

それから真剣な顔になり俺達を見る。

「何かあった?本当に」と聞いてくる。

俺は少しだけ考えてから美夜子を見てから肩をすくめた。


「何もないよ。サンキューな」

「そう?なら良いけど」


美夜子は生徒会役員である。

だからこそ。

考えながら俺は美夜子を見る。

伸びをしている美夜子を。

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(カクヨムコン9応募)彼女が寝取られてしまったのだがそれは俺の彼女であり義姉妹の姉の方だった。そして.....? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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