第8話 変異

☆(長住桜)サイド☆


確かに私はふざけた感じだった。

だからこそ。

そう考えながら自室に戻ると電話がかかってきた。

私は「?」を浮かべながら画面を見る。

画面には(優作)と書かれている。

私は「!?」と浮かべて電話に出る。


『やあ。桜』

「あ。ゆ、優作。ど、どうしたの?」

『ちょっと相談があって電話した。今良いかな?』

「?.....良いよ?」

『僕達、よりを戻せないかな?』

「え?い、いや。それは無理だって言ったよ?納得してくれたじゃん」

『うん。でもね。僕にはやはり君しか居ないと考えた。そこで君に相談があるんだけど』

「な、何?」


『君はもう1人の彼と別れる気はあるかな?』と聞いてくる優作。

私は「無理。私ね。もう誰とも暫く付き合わない事にしたの」と返事をする。

すると優作は『うーん。そうか』と言葉を発した。

それから私に聞いてくる。

『君にとって大切なものになりたい』という感じでだ。

私はかなり困惑する。


「でも」

『大丈夫。僕とならうまくいくよ。きっと。だから信じて』

「でもやっぱり、わ、私は」


そう困惑する私。

だが優作は構わず話を続けた。

『大丈夫だって』という感じでだ。

私は「用事があるから切るよ」と言うと優作は『待って。話を続けようよ』と話してくる。

何か恐怖を感じた。


「私は勉強したい」

『まあ待って。もう少しだけ話そうよ。手間は取らせないから』

「いや。優作。でも」


そんな感じで区切り無い話になろうとした時。

いきなり背後から手が伸びた。

それは隼人だった。

それから尋ねてくる。

「相手はもしかして浮気相手か」という感じでだ。

私は更に困惑はしたが(嘘はもう吐けないか)と思い返事をした。

「だね.....」という感じでだ。


すると隼人は考えてから「スマホ貸してくれるか」と言葉を発した。

私は「うん」と言いながらスマホを貸した。

隼人は「もしもし」という感じで話す。

優作は不愉快そうな感じの反応をしてきた。


『君はもしや噂の隼人くん?』

「そうだな。そういうお前は誰だ」

『僕は瀬川優作だよ。宜しく』

「そうか。瀬川優作ね。宜しく。俺は桜の兄の隼人だ。噂は予々だが」

『そうかい』


そんな優作に「で。お前なんなの?桜が嫌がっているんだけど」と怒る隼人。

すると優作は『話を聞いてほしいだけだよ?嫌がらせなんかしてない』と話す。

私はその言葉に困惑の極みの顔をする。


「そうは言ってないぞ。桜は」

『僕はそんなつもりは無いけどなぁ』

「.....まあどっちでも構わないが。電話な。もうかけてくるな」

『何故?それを君が遮る必要があるかい?』

「あくまで嫌がっているんだよ。桜が」

『そんなの桜本人の本心は違うかもしれない。決めつけは良く無い』

「話したくないって言っているんだからな。そもそも俺の妹だぞ。分かるに決まっている」

『そうかな?じゃあ桜に代わってもらえるかな?』

「いい加減にしろ。話したくないんだよ。桜は。だから抵抗するな」


すると優作がこんな事を話した。

『桜が話したくなくても桜に直接聞くよ。桜はそんな人じゃないから大丈夫』という感じでだ。

気持ちが悪くなってきた。

私は首を振りながら隼人を見る。


「お前はキショいな。もう電話するな。回線は全て遮断する」

『そうしても僕が桜を好きなのは変わらない。だから会いに行くよ』

「来るなっつってんだよ。ボケ。話にならない。じゃあな」

『君は最低だね。桜に相応しくないなぁ。そんな暴言吐く人は嫌いだ』

「それでも構わない。大体ストーカーに近いのお前の言葉。実際やったら警察行きだな。じゃあな」


それから電話を切る隼人。

そして私を見てくる。

悲しげな顔をしていた私はハッとして「ごめんなさい」と謝る。

そして私は隼人を見た。


「隼人。有難う」

「別に気にする必要はない。だけどああいうクズはどこにでも居るから気をつけな」

「そうだね。まさかあんな感じになるなんて思わなかった。信じてたのに」

「俺は全く信頼できなかった。だから大丈夫。何があっても俺がお前を守る」

「隼人.....」

「俺はお前の事を信じている。だから悪に染まるなよ」


私はその言葉に涙が浮かんだ。

それから涙が溢れる。

「有難う」と。


そう呟くしかない。

恵まれているなぁ私は

幸せ者だなぁ私は。


「気をつける。有難う。隼人」

「ああ。頑張れよ。桜」


そして私は笑みを浮かべてから決意する。

それから拳を握りしめた。

そうしてから顔を上げて隼人を見る。

隼人は驚きながらも。

笑みを柔和に浮かべた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る