第7話 虹が見える日を目指して

☆(長住春)サイド☆


私達の家は本当に複雑だ。

何故かというとお姉ちゃんのクソ親父はお姉ちゃんの母。

高校生の時に妊娠した相手に母が暴力を受けていたらしい。

私はその事にただただ複雑に感じる。

だからこそ桜は浮気したのだろうけど。


だけど私はこれからははーくんと協力してからこの先お姉ちゃんを助ける。

お姉ちゃんは絶望のどん底に居る。

私達の家族である。

甘くし過ぎなのだろうけど私はお姉ちゃんが変わると言ったからにはサポートはするつもりだ。

彼女がしっかり変われば良いのだが。


「でもまさか離婚なんてね」

「そうだな.....まさかだ」

「離婚したら親権の問題がありそう。どうするんだろう」


そんな感じで私達は会話しながら悩む。

するとはーくんが「まあ親権がどうのこうのよりも今は未来を考えよう」と切り出した。

それから私とお姉ちゃんを見る。

お姉ちゃんは「私のせいかな」と言葉を発しながら俯く。

するとはーくんが「それは違う」と否定した。


「お前が幾ら理不尽な事をする馬鹿でも今回は違う。お前は何も悪くない」

「そうかな。.....有難う。隼人」

「俺にはこういうサポートしかしきらんから」

「そうだね。だけど励みになっているよ。本当に有難う」


そんな会話をしながらお姉ちゃんは苦笑する。

そして「私は最悪な事ばかりしたから」と言葉を切り出す。

そうして「私はだから.....」と言う。

そのお姉ちゃんの手をゆっくり握った。


「分かってる。お姉ちゃんはもがいているんだよね?」

「うん。ごめん。うまく表現できないや」

「その心があれば大丈夫だよ。お姉ちゃん。きっとうまくいくよ」


そう言いながら私は姉の手を握る。

そして「親権は悩ましいけど大丈夫。大人の人達が配慮してくれるよ。絶対に」と告げた。

それからお姉ちゃんを見る。


「取り敢えず待とうか。えっと。それとも気晴らしに外に出る?」

「いや。待とうか取り敢えず。何かしらあるかもしれないし」

「はーくんがそう言うなら」


それから私達は(両親が帰る前に)と思ってそのまま宿題をし始めた。

そして1時間後。


みんなが帰って来た。

あまり浮かれた顔では無い。

当たり前だが。



「.....すまないな。突然に決まってしまって」

「そうだな。親父。急に決めるな」

「話し合いをしたの。だけど折り合いがつかなくてね。卓郎さんとみんなと話そうという結論になったわ」

「お母さん.....」


愛美さんは眉を顰めながら考える。

私達も深刻な顔をした。

するとはーくんが「まあまあ。何か食べませんか?」と手を叩いた。

「そうだね。隼人。何か食べようか」


それから立ち上がるお兄ちゃん。

はーくんもその様子に立ち上がる。

それから台所に向かう。

お姉ちゃんに聞くはーくん。


「何を作るんだ?」


という感じで。

するとお姉ちゃんは「うん。親子丼を作るよ」と回答しながら笑顔になる。

「親子丼.....?」と私は驚きながらお姉ちゃんを見る。

お姉ちゃんは「みんな親子丼好きでしょ?」と笑みを浮かべる。

それからちゃっちゃっという感じで親子丼を作り始めた。


「確かにな。親子丼はみんなの好物だな」

「こういう時こそ食べないとね」

「そうだね」


はーくんは笑みを浮かべている。

私もそれにつられて笑みを浮かべる。

それから2人を見た。


そうか。

この生活ももう直ぐ終わりか。

考えながら私は涙を浮かべてしまう。


「春さん。大丈夫か」


卓郎さんが私を見てくる。

丸メガネ、オールバックの白髪。

優しそうな瞳だがなかなか厳つい顔つき。

私はその心配の言葉に眉を顰めながらも柔和になった。


「はい。大丈夫です。私は私ですから」

「そうかね」

「もう.....泣かないって決めたんです」

「.....」


すると背後からいきなり抱きしめられた。

それははーくんだった。

(え!?)と思いながら私ははーくんを見る。

はーくんは「大丈夫か」と聞いてくる。

突然の事に私は慌てる。


「だ、大丈夫だよ!?死んでないから!な、なんで?どうしたの?」

「お前が心配なんだよ。それだけだ」

「あ、ありがとう。お兄ちゃん」

「ああ。お兄ちゃんに戻っているぞ。呼び方」

「そ、それは返事が戻るに決まってるよ。だって恥ずかしいんだから!」


それから私はワタワタする。

そんな私をはーくんは複雑な顔を見せる。

私はその顔を見つつ私も苦笑する。

そして私ははーくんをまた見る。


「大丈夫だよ。私が確かにこの中では位が低いけど。だけど私は大丈夫。なんでかって?私は感情は安定しているから」

「.....そうだな」


私は強くなる。

そう考えながら私はみんなを見る。

それから笑みを浮かべた。

同時にお母さんが「春。ありがとう」と柔和になってから私の顔を撫でる。

私は少しだけ恥ずかしくなってしまう。

そして赤面した。


「お母さんも恥ずかしいからやめてよ」

「娘の成長を喜ばない母親は居ないわ。貴方は良い子に育ったわね。勿論だけど桜も」

「わ、私は.....」


お姉ちゃんは沈黙する。

私達は顔を見合わせてからその姿を見る。

まあ.....人生は色々だ。

だからこそ今から.....頑張ろう私達もお姉ちゃんも。

考えながら私は前を見据えた。

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