第4話 姉妹の秘密

☆(長住春)サイド☆


無論だが全ての手は打ってある。

姉は恐らく怒る。

何故なら私達は長い間一緒に暮らしている。

そしてこれは今話すべきだと思うから話すが。


長住桜の本名。


何というか長住桜は本来、重松桜(しげまつさくら)という名の少女だ。

私達は姉妹ではあるが姉妹では存在なのだ。

赤ん坊の頃から一緒に桜とは居るが性格が真逆なのはそのせいだ。

だから私を容赦無く切り捨てるだろう。

そんな事は全て予想通りだ。


「しかしこれで良かったのかな」

「.....私は構わないよ。お兄ちゃん。これで作戦は全て進むから」

「作戦って何だ?」

「私はお姉ちゃんをお姉ちゃんと認識できないから取り敢えずはまあ.....怒らせるだけ怒らせて様子を見たい」

「お前も大概だぞ.....春」


横に居るお兄ちゃんはそう言いながら顔を引き攣らせる。

私はその顔を見ながら「私は正義を持って接している。だから問題ないよ」と答えながらお兄ちゃんに笑みを浮かべる。

それから私はお兄ちゃんに寄り添った。


「.....お前.....いくら何でも激しいぞ」

「私はお兄ちゃんと居られるだけで幸せなのです」

「だからと言ってな」

「良いから。.....ね?」


そして私は笑顔でお兄ちゃんとショッピングを楽しんでいると30分ぐらい経った後に目の前にその女が現れた。

重松桜。

私を見ながら「アンタね」と言っている。

その様子に「何か?」と私はすっとぼけた様な感じで表現する。


「私はアンタを妹と認識出来なくなってきているよ」

「奇遇だね。.....そもそも悪いのはどっちかな?」

「.....」


私はその姿を見ながらクスッと表現する。

そして私は「貴方が悪いよね?全部」と言い表した。

すると桜は悲しげな顔で「そうだけど」と酷く困惑する。

私はその顔を見ながらニヤッとする。


「じゃあ私が貰っても良いよね?おにーちゃんを」

「だからと言って奪う事にはならないよ!」

「何で?全ては貴方のやった事をなぞっているだけだよ?」

「わ、私は.....」


そう言いながら桜は私を見てからお兄ちゃんを見る。

お兄ちゃんは「残念ながらお前のやった事は罪深い。.....だからこそ勝ち目はない」と首を振ってから反応する。

私は桜にニコッとした。

それから「そう言う事だから」と言葉を発する。


「.....」

「.....じゃあね。桜お姉ちゃん」

「.....隼人.....!」

「同情できない。.....お前には」


そして私達はそのままその場を後にする。

それから桜を置いてからデートの続きをした。

桜は後ろで泣いている様だった。

だけど最早知った事ではない。

こんな無茶苦茶な事をやってしまったのだから。


「ねえ。次どこに行く?」

「.....そうだな.....」


そんな会話をしていると「待ちなさい。2人とも」と声がした。

背後に振り返ると桜は「私は.....春。アンタを許さない」と負け犬の遠吠えの様な感じの事を話す。

私は「具体的に何を許さないの」と言葉を発する。

すると春は「.....私から勝手に隼人を奪って.....そんなの許さない」という感じで言ってくる。

いやいや。


「許さないって私を殺したりするの?」

「さ、流石にそこまではいかないけど。そんな事をしたら犯罪だから.....。.....だからこそ.....」


そこまで言った時。

お兄ちゃんが桜をそんなに強くはないが平手打ちした。

それから「良い加減にしろ!!!!!」と言った。

そして「お前がどれだけ俺を悲しませたか知っているのか!?復讐!?バカじゃないのか!」と言葉を荒げた。

通行人がビックリしている。


「は.....隼人.....」

「俺はお前に期待もした。.....そして変わってくれるものと思った。.....だけどお前は全然変わらない。.....そんなお前に期待なんかできる訳ないだろ」

「.....」


桜は泣き始めた。

私はその姿を見ながらお兄ちゃんを見る。

お兄ちゃんは悲しげな顔で「お前には強く強く期待していたんだ。だけどお前は何も.....結局そういう事しか考えないから.....だから俺達もこういう反応しかできないんだぞ」と唇を噛んだ。

その言葉に続いて私も「桜には期待していた。だけど何も変わらないから」と話す。

すると桜はわんわんと泣き始めた。


「頼むから変わってくれ。.....桜。多少なりとでも期待される人間になれよ」

「.....私は.....」

「.....」


私はその姿を見ながら盛大に溜息を吐く。

それから「お姉ちゃん。私は貴方に期待できない。だけど少しだけでも行動を変容してくれたらきっと前みたいな関係に戻れる気はするから」と告げる。

お姉ちゃんは「.....分かった」と私達を見た。

そして涙を拭う。


「帰る」


そう言いながらお姉ちゃんはそのまま家に帰ってしまった。

後に私達が残された。

その姿を見送ってから.....私はお兄ちゃんを見る。

お兄ちゃんの瞳には少しだけ涙が浮かんでいた。

私はその姿を見ながら目線を横にずらした。

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