第2話 置き去り計画
☆(長住春)サイド☆
私のお姉ちゃんは恋人を裏切って浮気した。
それも私の愛しているお兄ちゃんを裏切ってだ。
(絶対に許さない)と思う心で私はお姉ちゃんを見る。
何も知らぬ顔で家事をしている姉をだ。
真顔で見る。
どう復讐をしていこう。
この女.....絶対に許せないと思う。
「どうしたの?春?」
「.....何が」
「私をジッと見たりして。何か顔に付いてる?」
「何も付いてないよ」
まあそうだ。
コイツは浮気という仮面をくっ付けている。
それ以外は悪な点はない。
いや。
それでも私はもう許せる領域を超えた。
絶対に私はコイツを許さない。
考えながら居るとお姉ちゃんが寄って来た。
それから「春。私ね。.....デートしようと思うの。隼人と。良いデートスポットってあるかな?」と聞いてくる。
「.....ああ.....良いデートスポット.....そうだね。今は思いつかないかな。だけどお姉ちゃんが行くならお兄ちゃんはどこでも楽しいと思うよ」
良い感じで突き放した。
私は冷めた様な笑顔を浮かべながらお姉ちゃんを見る。
するとお姉ちゃんは「じゃあさ。遊園地とかどうかな?」と聞いてくる。
私は「それ良いかもね」と相槌を適当に打った。
でもこれはチャンスかもな。
面白い事を思いついた。
遊園地でお姉ちゃんを置き去りにするのだ。
「.....お姉ちゃん。是非楽しんだら良いと思うよ」
「そうだね。.....春もそう思うよね?」
「うん。思う思う。めっちゃ思う」
そんな感じで回答をしながら私は笑顔になる。
それから話に区切りがついてからお兄ちゃんの部屋に向かう。
そしてノックをすると勉強中のお兄ちゃんが出て来た。
「ど、どうした?」という感じで目を丸くする。
「ねえ。お兄ちゃん。ショッピングモールデートしない?」
「.....ショッピングモールデート?」
「そう。お姉ちゃんを置き去りにしてそこに行こうかなって。お姉ちゃんはお兄ちゃんをデートに誘いたいみたいだけど私は許さない」
「そ、そうなのか.....」
「そう。私は絶対に許さない。お姉ちゃんには間違いなく地獄を見てもらう」
そう言いながら私は満面の笑顔を浮かべる。
そして「お姉ちゃんとは遊園地デートしたいみたいだけど一緒に脱出してからそのままデートしよう」とお兄ちゃんを見る。
「しかし」とお兄ちゃんが言い淀む。
私は「お兄ちゃん。許しちゃダメだよ。早すぎる」と言葉を発した。
「お兄ちゃんは優しすぎる。.....私は絶対に姉を許さない」
「.....分かった。お前がそこまで言うなら計画に乗る」
「メチャクチャに酷いと思うかもしれないけどこういうのはお姉ちゃんがやっていたからね最初は。だから私はその同じ事をなぞっているだけだし」
「そうだな.....確かにな」
お兄ちゃんは何だか怒りが満ちた様な顔をする。
私はニヤッとしながら「契約成立だね」とお兄ちゃんを見る。
それから私達は遊園地に置き去り作戦という名目で企てた。
お兄ちゃんが体調不良で抜けてデート、みたいな感じだ。
私はウキウキな気分でお兄ちゃんを見た。
「.....でもバレないかそれ?」
「お兄ちゃん。バレるとかバレないとかそういう問題かな?お姉ちゃんは浮気者だよ。こっちが何もしてないのに相手側が危害を加えた。手加減なんて必要もないしやるならこっちも徹底抗戦だよ」
「.....!.....そうだな。まあ確かにその通りだ」
お兄ちゃんは苦笑いを浮かべる。
それから私を見てきた。
私はそのイケメン顔にキュンとしてから「ねえ。お兄ちゃん。おまじないのキスを手の甲にして」と言わずにはいられなかった。
唇のキスはお預けだ.....今は。
「な、何を言っているんだ」
「私は気力が無くなりましたー」
「.....お前な.....小っ恥ずかしいぞ」
「私はそうは思わないよ。お兄ちゃん」
そう言いながら私はお兄ちゃんを見る。
お兄ちゃんは恥ずかしい様で頬を掻きながら反応する。
それから暫く考え込んでから「分かった。手の甲を出してくれ」と私に言う。
私はその言葉に頷いてから少しだけ恥じらいつつ右手を差し出す。
するとお兄ちゃんは徐々に右手に顔を近付かせキスをした。
「.....う.....ぁ」
「.....春?」
「.....これはめっちゃ気持ちいい。ゾクッとしたよ。お兄ちゃん」
「あのな.....」
お兄ちゃんは顔を引き攣らせる。
私は赤面しながらゾクゾクと反応しつつ右手の手の甲を撫でる。
それから私は「えへへ。おまじないありがとう」と言葉を発しながらお兄ちゃんを見てみる。
お兄ちゃんは頬をまた掻きながら「ったく」と言っていた。
これは真面目に破壊力がヤバい。
「.....メチャクチャに恥ずかしいぞお前」
「それはそうだろうね。私も恥ずかしい」
「じゃあ何でやらせたんだよ?訳が分からない」
「言ったでしょ。私はお兄ちゃんの全てを狙うってね。これは前菜という事だよ」
「意味が.....いやまあ聞いたけど.....」
「私は裏切り者を許す気はないし。お兄ちゃんは絶対に私が貰う」
そして私は紅潮しながらニヤァッと笑みを浮かべた。
私のものだ。
邪魔しようとするならそんな奴らは排除する。
それからお兄ちゃんの横に私が立つ未来を想像した。
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