あっという間に恋人できて、キスまでできちゃうガチャ⁉︎嘘くさって思うんっけど…えっ⁉︎まさか…これってガチなやつなんじゃねっ⁉︎

猫の集会

マジか

「おにぃー、コレなんだと思いますぅ?」

 

 …

 

 高校生になったオレの義理の妹は、幼い…

 

 嬉しそうにおもちゃなんて持ってきてさ…

 

「おもちゃな。どうしたそれ?拾ったのか?落とし物は、拾ったらちゃんと落とし物センターにだな…」

「違いますー。ちゃんとバイトして自分でガチャしてきたのっ」

 

「あ、そう。」

 

 …くだらない。

 

 オレはそんな小さなおもちゃなんてどうでもいいと、部屋に入ろうとするとまた、やってくる妹のサクラ。

 

 部屋には、入れませんと言わんばかりに両手を広げている。

 

 …

 

「なに?」

 

 …

 

「だからぁ、コレ!なーんだ?って聞いてるのっ‼︎」

 

 …またプラーンとおもちゃをオレの前にぶら下げるサクラ。

 

 ゆらゆらゆらゆらと揺れるおもちゃ。

 

 …

 

「あー、それは…みると眠くなるやつな。はぁ〜あ。眠くなってきた。それすげーな。じゃ、おやすみー。」

 

 と、オレは部屋に入ろうとするとまたサクラが、

「これは、催眠術じゃないっ!これはね、すごいの!」

 と、続けた。

 

「へー、何が?」

「いい?このガチャは、持っていると彼氏ができちゃうんでーすっ!」

 と嬉しそうに笑うサクラ。

 

 

 はぁっ⁉︎

 どんな魔力が仕込んであるんだ?

 

「どれ、貸してみろ」

 

 オレは小さなおもちゃをプラプラさせながらマジマジと舐めまわすようにみた。

 

 …やっぱりただのおもちゃじゃねーか。

 

 あ、なんかそそる匂いが…しなかった。

 

 …

 

 アホくさ。

 

 

 って思ってた。

 

 次の日大学に行くまでは。

 

 

 

 オレはその日、学食でがっつり昼を食べていたんだけど…

 

 後ろの席の女子たちがこのガチャのおかげで告白されたぁ♡と話していたじゃないかっ!

 

 は?マジか…

 

 どうやらそのガチャは、ミニ恋愛話が書いてあるそうだ。

 で、そのガチャをぶら下げるイコール恋人いません。恋人募集中という意味をもたらすそうな。

 

 

 

 …でもねぇ、そんなすぐにうまくいきますかねぇ?とやさぐれたオレは、またもくもくと昼ごはんに没頭した。

 

 でも、内心ドキドキしていた。

 

 …もし、サクラに本当に彼氏ができてしまったらどうしよう…と。

 

 

 そう、実は…オレはサクラが大好きだ。

 

 かわいくて仕方ない。

 

 …でも、妹だし。

 

 …だから、妹としての好きなんだって自分に言い聞かせるも…ほんとうは、違うってわかっているから…だからサクラには、そっけない態度をとり、自分を落ち着かせているのだ。

 

 

 

 家に帰るなり、いきなりサクラは目を輝かせて

「彼氏ができちゃった♡」

 なんて言ってきた。

 

 マジかーーー…

 まさか、あのガチャのせいなのか?

 

 だとしたら…そのガチャ凄くね⁉︎

 

 ある意味…こえーだろ…と、呆然。

 

「ねー、聞いてる?」

 

 …

 

「あー、聞いてない」

 

 もう、聞こえない。ってか、そんな話聞きたくもない…

 

 と閉ざし気味になっていたら、隣に住む幼稚園児の健太くんがキラキラのおめめでオレを覗き込んだ。

 

 そして、

「お兄ちゃん、ボクサクラちゃんと結婚するの。いいでしょー」

 と、ニコニコの健太くん。

 

 

「あー、サクラ…彼氏って健太くん?」

「そ、そうだよぉ…。悪い?」

「あはは、健太くんか。お似合いだ。でも、なんで健太くんは、このちんちくりんのお姉ちゃんがいいの?」

 と聞くと、

「あのね、いつもお菓子くれるから。だから、結婚したらお菓子食べ放題でしょ?」

 と言ってきた。

 

 あー、なるほどー。

 

 

「ならさ、健太くんの仲良しのゆみちゃんのお母さんなんか、買ったお菓子じゃなくて手作りお菓子作れるんだよ?ゆみちゃんもお母さんに教えてもらうんだってこの前言ってたなー。ゆみちゃんと結婚したら、手作りお菓子食べ放題かもなー」

 と言ってみた。

 

 すると…

 

「えっ?なら、ボクゆみちゃんと結婚したい‼︎ゆみちゃんがいい‼︎」

 と、健太くんはゆみちゃんの元へといってしまった。

 

 ぷくく

 

 サクラをみて、ニヤリとしたオレ。

 

「最低ー。せっかく彼氏できたのにーっ」

 と、あっかんべーするサクラ。

 

 

 ふぅ…ガチの彼氏できなくてよかったー…

 

 つってもさ…早くどうにかしないとサクラに彼氏ができてしまう。

 

 

 

 で、オレは最高の案を考えた。

 

 チャリンチャリン、ガチャ ガチャ

 

 よし‼︎

 これでもう悩むことは、ございませんっと‼︎

 

 

 …

 

 いいんだ。これで…。

 

 

 

 ✴︎   ✴︎   ✴︎

 

 

 オレは、どうしたかというと…

 

 オレも実は、あのガチャをやった。

 

 で、あのおもちゃをバッグにぶら下げたのだ。

 

 

 そう…、オレはサクラじゃない彼女をみつけるために。

 

 だって…血は繋がってなくても妹と結婚なんて……。

 

 

 数日後、サクラはオレのバッグにぶら下がっているものをみて、

「えっ⁉︎え、え、えっ⁇」

 と慌てていた。

 

「おにい…」

「ん?」

「それって…」

「あー……」

 

 サクラは、きっとひいたのだろう。

 キモい兄だと…。

 

 

「おにい彼女欲しい…んだ?」

 

 …

 

「あー…、まぁオレもお年頃だし?」

「そ、そうなんだ…。ならわたしも彼氏募集中なんだよ?」

「だな。」

「だから、わかる?」

「え?なに?」

「だからー、おにいは彼女欲しくてわたしは、彼氏がほしいの。つまり…?」 

 

 …

 

「あー、お互い頑張ろうってことね。」

「ちーがーう」

 

 …

 

 え?

 

「ん?」

「ん?じゃなくて、どっちも募集中ならわたしたちが付き合えば…いいんじゃん…?」

 

 ⁉︎

 

「それは、なくね⁉︎」

 

 …

 

「…知ってる。おにいがわたしに興味ないのは、知ってたけど…でも、わたしは…わたしは…」

 

 え?

 これは、泣かれるパターン?

 ってか、もしかして…サクラもオレと同じ気持ちなんじゃ⁇なんて思っているとサクラは、いきなり顔をあげて、

「ねぇ、直己なおきにい…おまけ…なんだった?」

 と目をウルウルさせながら言ってきた。

 

 ?

 おまけ?

 

「なに?おまけって⁇」

「ガチャのミニ本のおまけ」

 

 …

 

「あー、これか」

 机に置きっぱなしのガチャをみるとなんかもう一個入っていた。

 

 

 え…

 

 こ、これは…

 

 

 説明文をみると…

 

 …

 

 キスがしたくなっちゃうよ♡って書いてあるんだけど…?

 

 ほんと?

 

 

 どうやら、このおまけのくちびるの部分をプニプニ指で押してから自分のくちびるもプニプニしてもらう…らしい。

 

 たしかに、距離が近いし…くちびるを触るって…行為は…どうよ⁉︎

 

「おまけ…、試してみてよ?わたしで」

 と言い出すサクラ。

 

 

 ⁉︎なんてことを…

 

 …

 

 ま、所詮はおもちゃなんだし。

 

 

 オレは、言われるがままおもちゃをプニプニして…今度はサクラのくちびるをプニプニ…したんだけど…サクラがポロポロ泣きながらオレに、

「好きだよ」

 って訴えかけてくるもんだから、もう理性なんか吹っ飛んだよね。

 

 オレも好きだよって言いながら抱きしめてキスをした。

 

 

 あのガチャは…本物だった⁇かどうかは、わからないが、でも…ガチャのおかげでオレたちは、付き合うことができた。

 

 

 今度は、恋人いますからごめんなさい⭐︎のおもちゃ発売してもらわなきゃだな。

 

 って、そんなのだれもいらないか…。

 

 

 おしまい⭐︎

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