第23のネオン 伸びゆく街

 続く第23のネオンは、不動産業者のものだ。

 それも、賃貸住宅の一室をあっせんするような小さな業者ではなく、「デベロッパー」と呼ばれるような、大規模開発業者のものらしかった。


 いくつもの高層ビルが、そのネオンの中で次々と建設され、青空へ向かって伸びていく。そして、最後にはとうとう、一つの都会が誕生することになる。


 明るい青空が夕焼けのオレンジ色に変わり、やがて夜空へと変わると、ネオンの中に建ち並ぶビル群の屋上でも、様々なネオンがそれぞれ色とりどりに輝き始める。

 ビルの無数の窓は明るく光り、通りには大勢の人や自動車が行き来して、いかにも活気がありそうだ。


「伸び行く街の力になりたい」という、まさに力強いキャッチコピーが、ミニチュアの都会の夜空で輝く。


 その様子はまるで、かつての「スクルージ街」の風景そのものだった。

「伸び行く街」。この通りにも、そんなキャッチコピーがぴったりに感じられる、希望に満ちた時代がちゃんとあったのだ。


 今となっては、その明るいネオンを載せたビルにさえ、点る灯りはない。最後の入居者が出て行ってしまったのは、いつ頃のことだったのだろう。


 それでも、通りに並ぶネオンたちは、今日も色とりどりに輝き続ける。静かに降り始めた、雪の中で。

 その様子はまるで、かつての「伸びゆく街」の姿を、未来の誰かに伝えようとしているかのようだった。


(明日は第24のネオン「良い子たちへのプレゼント」を紹介します)


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