第19のネオン 荒野に届く声
第19のネオンは、放送局のものだった。
この町には、ラジオ放送のローカル局があったのだ。
そのネオンは、放送局のビルに建つ電波の送信塔に取り付けられたもので、同心円状に広がる電波のイメージが、円形のネオン管が順番に点滅することによって表現されていた。
まるで、そこから発信される電波が、そのまま見えているかのように。
同心円の中心では放送電波の周波数と、放送局の名である三文字のアルファベットが、三原色で表示されている。
一時はすっかり時代遅れとなっていた電波メディアだったが、簡単な回路の受信機があれば聞くことができるラジオというのは、非常に効率が良い放送手段だ。
今では再び、情報の伝達手段として使われるようになっている。
送信塔の上という、特に高い場所にあるこのネオンは、町を取り囲む荒野からでも、はっきりと見える。
荒涼とした大地を貫くバイパス道路を延々と走り続けてきた車のドライバーたちは、波紋のように広がるネオン管の点滅を見て、思わずラジオのスイッチを入れるのだという。
聴こえてくるアナウンサーの声は、彼らにとってひと時の癒しとなるはずだ。
まるで陸の灯台のように輝いて見える、放送局のネオン。
それは孤独なドライバーたちにとって、この町の存在を象徴する存在なのであった。
(明日は第20のネオン「妥協の産物」を紹介します)
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