第18のネオン 希望のフライト
次は、航空会社のネオンだ。
夜空へ向かって離陸していく、スマートなジェット機。青いネオンで描かれた機体の、その両翼の端には、赤と緑の航空灯が点滅している。きらめくフラッシュランプの星空が、その背後を流れていく。
尾翼に描かれた航空会社のエキゾチックなマークが誇らしく、はるか異国の旅への憧れをかき立てる。
実際のところ、もしもこのネオンを見て、よし世界に旅立とうと思っても、そもそも首都の空港までたどりつくのが大変で、それ自体がすでに旅のようなものだった。
高価なチケットを手にすることができる人の数も、この町にはごく限られているはずだ。
それでもなお、世界への扉はまだ開かれていた。少なくとも、完全に不可能というわけではないはずなのだ。このネオンが今日も輝いているのが、その証拠ではないか。
通りを行く人々は、ネオンの中を飛び立っていくジェット機の姿を、憧れの思いを込めて見上げる。
いつか本物の飛行機に乗って、見知らぬ町や海や山で、まだ見ぬ人々に出会う、そんな日を夢見て。
ネオンの中の、そのフライトが続く限り、この町が絶望の底に沈むことはないだろう。
人々の希望を乗せて、夜間飛行は今日も続く。
(明日は、第19のネオン「荒野に届く声」を紹介します)
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