第4のネオン 自由な少女
続いては、ガス会社のライバルである、電力会社のネオン。
エネルギー企業同士、発想が似てくるのだろうか。発電所で生み出された電気が、建ち並んだ鉄塔に支えられた高圧電線を通り、山奥の一軒家まで届く様子が、オレンジ色のネオンの点滅で表現されている。
そのログハウス風の小さな家の窓には、頬杖をついて本を読みふける少女の姿があった。ページをめくり続ける彼女の頭上からは、電灯の明るい光が降り注いでいる。暗く深い森の奥にたった一人で住んでいても、今の彼女には何の不安もない。
彼女の読む本のタイトルも内容も、ネオンには表示されていない。白い光の線が、その分厚い本の形をただ輝かせているだけだ。
見る者の想像に合わせて、本の中身は自由に変わる、そういうことなのかも知れない。
彼女を照らす電灯と光の本がある限り、少女は物語の世界の中を思うままに旅することができた。いつまでも無限に、手元の本のページをめくり続けて。
身動きひとつできないネオンの中に閉じ込められているように見えても、彼女は誰よりも自由なのだった。
(明日は第5のネオン「ニヒルな横顔」を紹介します)
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