第35話
剣を抜きながら駆け出す。
そうして一気にゴブリンを斬り伏せていった。
そのまま勢いを止めずに突き進みゴブリンキングまであと一歩というところに来た。
ここで初めて焦りの表情を見せる。
そしてそのチャンスを逃さずに首を切り落とした。
その途端大量の経験値が流れ込んでくる。
そしてまたレベルが上がった。
今度はE+ランクになっていた。
これでEランクとの差も埋まっただろう。
とりあえずは一安心だ。
それからも次々と敵を倒していくこと30分、遂に最後の一匹を倒したところで突然声が聞こえてきた。
「おめでとう。まさかあんな化け物を倒しただけでなくEランクの冒険者を倒してE+にまで上り詰めるなんて本当にすごいじゃないか」
褒められているようで嬉しいがこの人が俺をこの世界に転生させた人物だと言うことは分かる。
だからこそ言いたいことがある。
どうして最初からこの力を渡してくれなかったのかと。
おかげで大変な思いをしたし下手したら死んでいた可能性だってあったのだ。
そういう意味を込めて文句を言う。
「君は私に対してかなり怒りを抱いているようだね。それは仕方ない事だと思うよ。だが今回の件に関しては私に全く非がないとは断言できないな。本当に申し訳ないことをしてしまった。どうか許して欲しい」
と謝罪をしてきた。
そして俺にある提案をしてくる。
「そこでどうだろうか。君が良ければなのだがこれからはこの世界で生活する上で困らない程度の力は与えるということにしてもいいと考えているのだが」
それは願ってもないことだ。
もしそれが本当ならこちらからもお願いしたいと申し出る。
「了解しました。それでは今後あなた様のサポート役として働かせていただきます」
こうして新しい仲間が加わったのだった。
ステータスを確認したらかなり強くなっていた。
今までは名前しか分からなかったが、今回はしっかりと詳細を見れるようになっていた。
まず基本能力はこんな感じだ。
体力
E- 魔力 EX++ 攻撃力 C− 敏捷 D 知略 B 運 A 魅力 SSS+ 固有スキル:神眼、限界突破、解析鑑定、言語理解、隠蔽(真)の7つになっている。
魔力と魅了耐性が高いのが特徴的だろうか。
それと新しい魔法として全属性中級と聖属性上級を覚えていた。
これは結構嬉しかったりする。
ただ魔力と物理防御が低かったのでそこは上げておく必要があると感じた。
次にユニークについて説明していく。
まず魔族の男は精神汚染系と言っていたがあれは恐らく相手の心に入り込み混乱させるものだろう。
それに幻術などをかけることで自分を強く見せたりと色々使えるのだ。
他にも相手を催眠状態にさせたり、操ったりすることもできるので使い方次第ではかなり恐ろしい能力になる。
次は魔王軍の四天王の一人、雷龍シュバルの使っていた魔法は電撃系の魔法と身体能力強化を使ったものだったがこれも魔法の一種と考えていいだろう。
魔法の中には詠唱無しで使えるものもあるのでそれを使ってきたのだと考えれば納得できる。
最後に闇属性魔法だ。こちらは魔法の中でも特殊属性と言われるもので使う人は少ない。
その理由としては闇属性魔法は習得難易度が高く、才能がなければ覚えることができないと言われているからだ。
なので俺は幸運にも闇魔法の適性があったのでそれを使って倒していた。
まずは闇魔法の使い手の特徴について話そうと思う。
闇魔法は基本的に補助や回復、毒などの状態異常攻撃に特化している。
他には隠密行動などにも優れているらしい。
これらのことから闇属性魔法を扱えるものはサポート役に向いていると考えられる。
実際に光属性魔法を持つ勇者パーティーでは僧侶を務めていたものが殆どだ。
ちなみに聖属性を持っていると聖職者になるため戦闘に出ることはなかったそうだ。
また火属性魔法と水属性魔法も基本的に前衛を務めることが多かったとされている。
そして俺は闇属性と相性がいいらしくかなり強力なものになっていると思う。
さらに光魔法の上位互換である聖魔法の素質もある。
これで更にできることの幅が広がるというものだ。
ここまで来た以上は最後まで行きたいと思う。
そう思い次の階層へと向かうことにした。
そこからは敵の強さが上がり、特にCランク以上の魔物がわんさか出てきた。
しかしそれら全てを倒して進んでいく。
この調子だともうすぐ終わりかなと思いながらも進んで行くとそこには扉があり中にはBランクモンスターが沢山いた。
さすがにこれだけの数を相手にするのは厳しいものがあると思ったので一旦戻ろうかと考えていた。
だがその前に中からドラゴンが出てきたのでそちらを優先して倒すことにする。
すると頭に響いてきた。
「そのドラゴンはお前の敵わないほどの強者ではないから全力で挑んでみるといい」
という言葉を聞いて安心したのでそのまま戦うことに決める。
そして戦いが始まった。
俺は真っ先にブレスを警戒したので距離を取りながら風刃を使う。
風の斬撃を放つことによって遠距離からダメージを与えるのだ。
そうして戦いを続けていると徐々に押されていることに気づく。
このままでは負けてしまうかもしれないと直感的に思った。
なので少し無茶をしてでも接近戦に持ち込むことにした。
そうして一気に間合いを詰めると攻撃を当てた。
その一撃を受けたことにより奴の攻撃パターンが変化する。
どういった仕組みなのかは分からないが爪による攻撃がメインになりそれ以外の攻撃をしてこなくなった。
これならば楽勝だと思い一気に攻め立てる。
そしてそのまま倒しきったところでまた声がかかる。
「よくやったな。それでは引き続きダンジョン攻略を進めてくれ」
と言われてしまった。
流石に不満を漏らさずにはいられない。
俺をここに転生させた時に力を渡してくれなかったのかと。
「すまない。私も君の気持ちは理解できる。本来であれば最初からある程度強い状態でスタートさせたかったところだ。それは間違いない」
やはりそうなんだなと思ってしまう。
それでもなぜ俺を選んだかということも聞きたかったので言う。
「そのことについてもきちんと説明するよ。ただここで言うのはあまりにも危険だから後で場所を移すとしよう」
確かにこの場で言ってしまっては他の冒険者に聞かれる可能性もあるのは事実だ。
だからこそ俺にだけ聞こえるようにしてくれていたのだろう。
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