第34話
「すみませんがここのシェフの人はいらっしゃいませますか?」
と聞くとすぐ近くから声がかかる。
振り返って見るとそこにはユウトがいた。
ユウトはこちらを見るとすぐ駆け寄ってきてくれた。
ユウトに無事で良かったと安心しながら一緒に部屋に戻ろうとするとユウトがこちらに手を向けてくる。
不思議に思っていると、ユウトは手を広げながらこういった。
「これからは僕に隠し事はしないこと、何でも言い合えるような関係になろうね」
俺は少し感動しながらもそうだなと返事をしておいた。
その日の夜はとても楽しかった。
2人で遊んだり話をしたりなどいろいろなことをして笑いあったりした。
ユウトは今まで辛い思いをしてきたんだと思う。
でもその分ユウトには幸せになって欲しい。
だから俺はユウトのことを支えよう。
そして必ずユウトのことを守ってみせる。
そんなことを思って眠りについた。
ーー翌朝、目を覚ますとそこには見たことのない光景が広がっていた。
そうここは異世界なのだ。
ユウトには絶対に迷惑をかけないようにしないと。
とりあえず外に出て街を歩く。
やはり活気があってとても良い雰囲気の街だと思う。
そして歩いていると冒険者のような人が沢山いることに気付いた。
もしかするとこの人たちの中に知り合いがいるかもしれないので探すことにしてみた。
だがそう簡単には見つからない。
仕方ないのでギルドに行ってみることにした。
そこで分かったことと言えば、ここにはレベルという概念が存在するらしい。
ステータスを開くと職業というものが現れてそこに経験値が表示されるようだ。
そのせいかレベルの上がりやすい人もいれば逆になかなか上がらない人もいるということも判明した。
次にランクだがこれもまた存在する。
F→E →D E+ と上がっていくようでFが最も低く一番高いSは10しかいないのだと言う。
Sになれるのは本当にごく僅かな人達のようで憧れている人も多いみたいだ。
他にも色々な情報を聞き出すことができた。
それからギルドを出て家に帰ろうとした時にふと思ったことがあるので実践しようと思ってある場所に向かう。
それは昨日、魔物を倒したところだ。
この森はかなり強い敵が多くいてかなり奥の方まで行かないとあまり戦えないということがわかったのでそこに向かって行く。
だが途中でゴブリンと遭遇。
しかも複数体いたのでそれぞれ倒していく。
その後少し進むとオーガとサイクロプスが現れた。
どちらも上位種に分類される強力なモンスターだ。
(これはやばいかも)
と思い一旦逃げようとするが2匹とも気づいているらしく追いかけてきてしまう。
俺は慌てて方向転換し全速力で走る。
後ろを振り向くと鬼の形相をした化け物がものすごいスピードで迫ってくるのが見える。
そしてとうとう追い詰められてしまった。
このままでは確実に殺されるので最後の手段を使うことにする。
実は先程倒した魔族との戦いで闇属性の初級魔法を覚えたのでそれを使おうと考えた。
イメージとしては銃に近いだろう。
そして狙いを定めて魔法を放つ。
すると相手の身体の一部に当たったところで何かに阻まれたかのように弾かれてしまった。
どうやら魔法を反射することが出来るものが存在しているらしい。
これじゃあ打つ手がなくなってしまった。
するとその時頭に声が響いてきた。
「おいお前、まだ諦めるのは早いぞ」
急に話しかけられて驚いたがなんとか持ち直すことが出来た。
それにしてもいったい誰が俺に話し掛けてきているのだろうか。
考えてみてもよく分からないので直接聞いてみることにする。
『あなたは誰ですか?』
「まあまあそうつれないことを言うなよ。私はただのアドバイス係みたいなものだ」
なんと、ただの助言役だったのか。
しかし何故こんなタイミングで現れたのかというと
「私の仕事は主に戦闘に関することで助言をすることなんだが、今回はあの魔法を跳ね返しているものをどうにかしなければ勝ち目がないと判断したため出てきてやったのだ」
なるほど。確かにそれはありがたいことだ。
でもどうやって? と疑問に思っていると
「私が君に新しい魔法を教えよう」
と教えてくれるそうだ。
一体どんな魔法なのだろうとワクワクする気持ちを抑えつつ聞いてみる。
「それでは君の闇属性魔法を使って奴らに対抗できる技を教えるとしよう」
と言われ早速説明を始める。
まず魔法の発動の仕方について教わった。
詠唱をしなくても大丈夫だとも言われたがその方法を聞くと、自分の持っている魔力の質を高めて、相手にぶつけるような感覚になるそうだ。
よしやってみよう!
と思い魔法を発動しようとするが上手くいかない。
その後も何回か挑戦するが一向に出来る気配がなかった。
「あれ?」
と思っていると頭の中でこう言われる。
君はまず自分が使える全ての属性魔法のレベルを上げることから始めないといけないのだと言われた。
そんなことしてたら絶対出来ない気がするんだけどと思ってしまうがよくよく考えてみると今すぐに使えなかったとしても練習すればいいだけなので問題はないのだ。
ということで早速言われた通りに実行することに決める。
「まずは自分の中の力を引き出すように心がけるんだ。最初は難しく感じるかもしれないが慣れるとだんだんやりやすくなるはずだから頑張るといい」
と励ましてくれたので感謝しながら意識を集中させる。
そこからどのくらい時間が経ったのかわからなくなるほどの長い時が経ちようやく光るものが見えてきた。
だがまだまだ先は長そうなので根性で頑張っていくしかないと思う。
それから数時間は経過したと思われる頃遂にコツを掴むことが出来始めたのだ。
ここからさらに数分後にはついに成功することができた。
この瞬間から俺は新しく覚えた能力を使うことになる。
そう思いながら次の攻撃に備えて構えるが特に変化は見られない。
少し残念に思っているとまたさっきのように頭に響く。
「その調子でどんどん続けろ。そのうち自然と身につくようになっている」
という言葉を聞いたので引き続きやっていこうと思う。
それから1時間後、そいつらは姿を現した。
そうゴブリンキングにゴブリンエンペラーである。
ゴブリンたちよりも圧倒的に強いことが伝わってくるオーラを発している。
流石にこの状況には恐怖を覚えるものの逃げるわけには行かない。
絶対に倒すと決めているからだ。
そして戦いが始まった。
俺はとにかく相手を倒すことだけを考えている。
だから目の前にいるゴブリンたちに全力を尽くすことにした。
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